詩人:矢野元晴。 | [投票][得票][編集] |
去年の今頃かな。
母と口喧嘩して、
『こんな家、早く出てやる』
そう言い残して、家を飛び出した。
ある程度、貯金していたけど、
想定外の出費で、
毎月貯金を切り崩していた。
自立の大変さを思い知り、
初めて、親の有り難みを
本当の意味で感じた。
首が回らなくなり、
母に事情を告げると、
『大変さが分かったでしょ
戻ってきて、またお金を貯めればいいよ』
想定外の返事だった。
自分が情けなく感じるのと
同時に、母の優しさが胸にしみた。
実家に戻ると
晩御飯が盛大だった。
『ご飯もロクに食べてなかったでしょ?
こんなにやつれちゃって。。
これから、いっぱい食べさせてあげるから。』
また、涙が出そうになった。
仕事から帰ると、
寝込んでいる母の姿。
『ちょっと今日は体調悪くてね』
それなのに、お風呂を掃除してくれたり
晩御飯を用意してあったりと、
『ありがとう』だけでは物足りなく感じた。
『母さん、肩揉んであげるよ』
母は、嬉しそうに背中を向ける
久しぶりにみた母の背中は
すごく細かった。
揉む代わりに、その背中を優しく撫でてあげた。