あのとき

違う選択肢を
選んでいたら

あたし

どうなってたんだろ


なんて

眠れない夜に考えてたら

答えに行き着いて
すぐ眠くなった


だって

あのとき

あの選択肢を
選んでなければ

あなたとの今はなかったもの

きみが美しいのは

その輝いた笑顔のせい

きみが皆に好かれるのは

きみが皆を好きだからさ


当然

僕もきみが好き

自転車のうしろ

便箋何枚ものテガミ

家電で長電話


あれも これも

素敵な思い出

今は卒業してしまった

あたしたち 二人の

若い思い出



ねぇ
私たちふたり
歳をとって

おじいちゃんとおばあちゃんになったら


また自転車のうしろに
のせてよ

電話はしなくても

毎日同じ布団で
背中合わせに
お喋りしようね


そして最期に

遺される方に

便箋何枚ものテガミを
書こう


でも、叶うことなら

ふたりでおなじ日に

旅立ちたい

クラヤミに

ヒカリがぽつんと

ありました


とおいのか

ちかいのか

さっぱりわからないので

そこへいくのは

やめました


そうして僕は

このバショから

うごけないまま

ひとりで

ずうっとすごすのです


ヒカリは

ちかづくことも

とおざかることもせず

ずうっとそこにいるのです


クラヤミに

ぽつんと

僕は

ただひとり

ヒカリが

ちかくへ

こないかと

ただ

ただ

願うだけ

辛いときや悲しいときしか

出てこない



感動や嬉し涙が

流せない


あたしは

ずっと

渇いてる

この前まで

あたしたち

だったのに

今は

あたし

と

あなた



はやく

また

あたしたち

に

なって


あたしたち

の

家に帰ろう

右手でも

左手でも

つかまえられなかった




両腕で

ぎゅうっと

抱きしめれば

よかったのかな

二度寝って多分

タイムスリップだと思う

少し目を閉じただけで

寝坊して遅刻

きみは
待つって言ってくれた

いつまで
待ってくれるのか
わからないけど

あたしの
意地っ張りは
いつまで持つのだろう

でもこのままじゃ
ダメなのはわかってる

スタートから
ずっと待ってくれているきみに


ごめんねって
言えたらな


だけど


怒ってる？って
聞かれたら

怒ってるって
ずっと答えるよ



それくらいの
意地悪は許してよ

ゆらりと視界が歪んだ直後

あなたの背中がみえた

あぁ

鼻の奥がつんとする


わたしは

ゆっくり下を向き


ごくり と

何かを飲み込んだ



かすかに
あなたの溜息が
聞こえた気がした