詩人:栢徠 | [投票][編集] |
駅にある小さな時計台
その下で約束の時間が過ぎても彼が来るのを待っていた
降りだした雨は私の頬に流れる涙を誤魔化した
見上げた時計台はくすんで見えてなんだか余計にさみしくて
溢れる涙を止められなくて
約束の時間はずっと前に過ぎたのに私は動けなかった
時計台と一緒に雨に打たれながら泣いていた
突然私に雨が当たらなくなって振り向くと、息を切らしながら傘を差し出す君が居て
バカじゃねぇ?
そんな声が聞こえた
ひでぇ顔だな
誰のせいよ
二人で傘に入って歩きながらそんな言い争い
ふと振り向くと雨に濡れた時計台が小さく見えて
私は小さな声でありがとうと呟いた