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カナリアの部屋


[196] コムギコパンダ
詩人:カナリア [投票][編集]

彼には空白の時間がある

彼が言うには
その時間は突然訪れるんだって

例えば床がボコボコとした岩場に見えたり
天井が下がってきて潰されそうに見えたり

頭ん中に音楽がガンガン流れて

それは凄い気持ち悪くて
でも何だか気持ちいいんだって

馬鹿じゃないの?


あたしはそう言って彼の背中を何度も叩いた

馬鹿じゃないの?

馬鹿じゃないの?

気持ちいい事なんて
あたしがしてあげるのに

あたしがおもむろに彼自身を口にくわえると

彼は切ない顔してあたしの頭を撫で
ごめん
と一言呟いた

お願いだからもう何処にも行かないで…

あたしは次の朝
有るだけの小麦粉を全部使ってパンを焼いた
有るだけの砂糖を全部使って林檎を煮詰めた
有るだけの塩を全部使ってチキンを焼いた

彼が惑わされないように

もう二度と彼がいなくならないように

2009/02/06 (Fri)

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