一人は、
この世の裏をまったく知らない、純粋な乙女を思わせる顔立ちをした少年だった。
一人は、
この世の裏をすべて知りつくした、気高く美しい、神の遣いを思わせる顔立ちをした少年だった。
二人はいつも一緒だった。
騒がしい日常からかけ離れた、
静寂で、美しい場所を舞う蝶のようだった。
私の眼に、
二人はとても眩しく写った。
ひどく白く、
清潔な印象。
そのままでいてほしかった。
二人だけの世界で。
酷く汚れたこの世界で、
二人だけが
私の眼に映る、
たった一つの
美という真実なのだから。
2005/06/17 (Fri)