瞬きすらおしかった。君を見続けたかった。でも、僕は壊れちゃったから。あいつの頭を、潰れたトマトみたいにするまで、君に触れることはできないよ。涙さえ、血の色に、染まるよ。鉄みたいな臭いを、消さなくちゃ。麝香の香りをたくさんつけて。君に、また触れよう。絶対に瞬きはせず、ただ 君を見つめるよ。壊れた女のただひとつの楽しみだよ。
[前頁] [シアの部屋] [次頁]