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緋文字の部屋


[120] どうにも いかない
詩人:緋文字 [投票][編集]

足りない 足りない
言っていれば
不公平なくらい
その先は拡がるみたいだった

小さいものから拾い集めて
やっとのこと
いっぱい満たしたそれを見て
その手から叩き落とす奴というのは
確かにいるのだと思った

全部落としてしまったじゃないの

私は持っている
まだ持っている

そして 優しさに
他者から言い換えられただけの傲慢に
否定しながら安堵する
それを知る自分を罵りながら
それでもまた
安息の半日を過ごす

満ち足りた中
奥の奥の
髄の私が
足りないと渇望するからこうやって
まだ在る事ができるのだろう


あなたはもう戻らない

許してきたのではなく
その実 諦め続けてきた
私はまだ ここにいるというのに
あの人の傍で


不公平な話

2006/01/30 (Mon)

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