詩人:緋文字 | [投票][編集] |
月の先
腰掛けて
はらはらホロホロ
弾きながら唄った
あのこの片足の靴
いつも
ぷらぷら
落っことしてしまいそう
月が満ちると
向こう側へ
必ず隠れてしまうのね
今宵三日月
つるんと降りてきて
また先っちょに
うまくとまった
ぷらぷら
あの靴が
もしも脱げ落ち
受け取ったのが
もしもこの手
だったとしたら
気まずそうな顔とか
するんだろか
思い過ごしね
抜け落ちそうな靴で
ぷらぷら
呑気そうな
リズムをとって
奏でるあなたの
まるで合わない 脈動が届いた
はらはらホロホロ
それでも
聴いていたいから
あのこの
華奢な足には
似合わない
あの靴
落ちたら
拾い上げる くらいなら
できるのかもしれない
おこがましいね
呑気そうなあのこ
いつも緊張していて
キッと上げられた顎は
下を向くことはない
見えない指先はきっと
キュッと曲げられてる
絶対に
落とさない
決めてるんだろうね