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緋文字の部屋


[133] Gradation
詩人:緋文字 [投票][得票][編集]

目をこらして
最初に置かれた色を探した

やわらかな階調
どこまでも拡がるようで
始まりも
終わりもないよう

見つけた、色
同じく淡いのだ けれど
彩度の落ちが
鈍く浮いて
沈みきれても いない


あの日の少年
水色の消しゴム
ピンク、
と言って笑われて
将来の夢 描きかえた


君が言わない事で
私は否定して
それを伝えずにいたら
それきりになった


見つけただけで
溶け合わなくなった
重ねるための
より近い色を求めても
あんな色にもう
見える世界には


『手を入れられないと
感じたなら
遠くから見てみなさい』


愉しませてくれたのは
至極 淡いものだったから
それより
強い色が置かれていない
そのことが 好きだった


笑われることを
恐れなかった


距離をとる
それだけの事で
ただの
単色の壁に


もう
過ぎていく景色

2007/01/27 (Sat)

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