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望月敏彰の部屋


[16] 知って、忘れる。
詩人:望月敏彰 [投票][編集]

「自分の目の前にいる男に
八つ当たりをされました」と
話すある女性

何で彼女に当たるのか
わからずにいたけれど
「もしかしたら何かやな事が
あったんじゃないか」と考えられる
彼女はできた人

「もしからしたら自分が何か
原因を作ってしまったのではないか」と
考えてしまって
自分を責める彼女


その女性と男との関係は
一見何もないように見える
だってただの通りすがりの人だったんだ


でも 顔をお互い見ないで出会うこと
出会っても 顔を覚えていないこと
今じゃ当たり前にあるだろう




どこかの匿名の掲示板が
どこかの誰かを傷つけたなら
どこかの誰かがどこかの誰かに
八つ当たりすることも否めない




大切な人を大切にすること
道徳の教科書ならそう書いてあるだろう
それを反対解釈していくと
見ず知らずの人は
傷つけないということにならないか
だってどこかの誰かを傷つけることは
自分の大切な人にめぐってくるかもしれないんだぜ


「情けは人の為ならず」と昔の人は言った
許すこと 助けることは
めぐりめぐって自分のところへ
帰ってくるんだ


人間だけが
他人の過去を想像 推測 感情移入できる
それは
人間は 高度な能力があり
個性も様々なだからゆえ
過ちも多いことからなのかもしれない
過去を知れば許せるという余地を
本能に組み込まれているのかもしれない


「結局 何が原因なんてわからないものね」と
笑って彼女は言った
学校では覚えること中心だけど
社会は知ることと忘れることが
大事なのかなと
ふと思った 独り言

2015/06/20 (Sat)

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