詩人:望月敏彰 | [投票][編集] |
あるところに、とても幸せな人がいました。
その人は、よくモノ忘れをします。
例えば、嫌なこと、人にしてあげたこと、人を助けたこと、
人にプレゼントをしたこと、自分がした努力などを、すぐ忘れてしまいます。
でも、忘れないこともあります。
例えば、楽しいこと、人に感謝されたこと、人に助けられたこと、
人からプレゼントをもらったこと、人が時間を割いてくれたことなどは、ずっと覚えています。
その人も、出来れば忘れないでいたいものが1つあります。
それは、出逢った人の“名前”です。
名前を覚えると、人を覚えやすいです。
名前を覚えてないと、偶然出逢ったときに呼びにくいです。
でも、その人は、出逢った人をきちんと覚えています。
なぜか。
それは、出逢った人の“笑顔”で覚えているからです。
その人は、出逢った人の笑顔を、頭の中に映像として残しているのです。
つまり、その人は、出逢った人たちを笑顔にしないと覚えられないのです。
その人に会う機会がありました。
「私は最近、運が悪いんですよね。あなたはどうですか?」と聞くと、
「私は幸せです」と言いました。
私が「何かあったのですか?」と聞くと、
「いいえ、何もありません。何も起こっていないから幸せなのです」
と言った。