ホーム > 詩人の部屋 > ゆぅの部屋 > 砂の城

ゆぅの部屋


[3] 砂の城
詩人:ゆぅ [投票][編集]

涙が苦いと云うから
泣かなくなったわ

瞳の雫落とさぬように
横顔で笑って…

煙りが伝う光の中で
抱き合って眠った

匂いが移ると云うから
煙草もやめたわ


キスの跡を残して
夢の温度は
持ち去ったあなた。

笑みを奪われて
涙だけで過ごした私。

もぅ何度目の夏かしら

あなたに抱かれた後の
煙草の美味さえ
忘れてしまったわ…


あの夏の日、
砂の城のように 波が
連れ去ってくれれば
良かったのよ

何も残らないように
遠くへ…

何かが残るまえに
どこかへ…


2004/03/29 (Mon)

前頁] [ゆぅの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -