ホーム > 詩人の部屋 > なってくるの部屋 > 夏休み最後の日を僕にください。

なってくるの部屋


[143] 夏休み最後の日を僕にください。
詩人:なってくる [投票][得票][編集]

君に訊かれた

「生きるって何ですか?」

あれからずっと考えてた

探してた



君の眼鏡を外そう

君の前髪を切ろう

新しい靴をプレゼントするよ、

一番似合わない靴



悪いけど、泣いてる暇はないからね

笑ってもちゃんと見てなよ



しゃぼん玉を飛ばそう

かざぐるまと走ろう

知らない道を通った先の
商店街の横路へ
あの小説の続きを見に行こう

腕相撲の決勝戦に飛び入り参加しよう

最上階のレストランをドタキャンしよう

美術館を最速タイムで駆け抜けよう

そうだ、あのパラグライダーに乗ろう


どうせなら

世界が愛して止まないほど

甘え抜くのです

森が貴女を護り

風が貴女に寄り添うでしょう


巨大なトランポリンで空に寝よう

次はジェットコースター回ろう

文化祭のお化け屋敷で変装して

信号機に登ろう

何処の花屋にもない、
タンポポを胸に飾ろう



一日早く学校に行こう

誰もいない夜のプールに飛び込もう

墓石にキスしよう

大統領をナデナデしよう

水溜まりにすきって書こう



草原を走り 綿毛を追って

洞窟を抜けて 海に出よう

寝転がって 目を閉じて

目蓋の奥で 花火になろう

雲に潜って 泳いで浸って這い出た先で

千年前に消えてた星と唄を歌おう



ほら
   もう
     君にしか似合わない靴




  さぁ帰ろ?


 何も言わずに手を繋ご?



もっともっと僕といよう

そう言って 別れよう

2011/05/26 (Thu)

前頁] [なってくるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -