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なおきの部屋


[2] 消えて
詩人:なおき [投票][編集]

もし抱き寄せるための腕がなかったら

もし会いに行くための足がなかったら

もし想いを伝えるための口がなかったら


僕には何もできない

張り裂けそうなこの想いも

どうする事もできない



今、何を言っても君を傷付ける
何を言っても君を追い詰めるだろう
謝っても、言い訳しても、僕が発する全ての言葉は
君をイラつかせ、悲しませ、追い詰める

僕には腕もなく、足も無く、口もない
君に対して許されるのは沈黙のみか

きっと君の前に存在する事すら許されていないのだろう
君の願いは
僕が君の前から消える事
せめてその願いだけは叶えてあげたい




君の声が聞こえる
透明で体中に染み込む君の声
手に取るように、君の声を再現できる
不機嫌な時の君
何かに夢中になっているときの君
歌っている時の君
泣いている時の君
苦しんでいる時の君

僕の名前を呼ぶ気味

何にも代えがたい君の存在

だけど、もう、君の声を聞くことは許されない

そこにいるのは解っているのに
声をかけることも許されない

僕の言葉は力を失い
もう君を悲しませる事しかできない


ならば、せめてその願いだけは。
君の、僕に対する、最後の願いだけは。

2008/12/04 (Thu)

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