詩人:トリ | [投票][編集] |
久しぶりに感じる
この胸の痛み
鈍く 身体中を駆け巡る
痛みと共に
何かが満ちていく
血管のような
あたたかい、なにか
ああ まだ私の心は
動いていたんだ
この痛みがあるから
優しくなれる
この痛みがあるから
ヒトになれる
痛みを感じない
強い人になるくらいなら
一生この痛みと共に
死にたいくらい痛がって
生きてやる
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もうどのくらい
こうしているんだろう
もうどのくらい
壁を見続けてるんだろう
進んでいるはずなのに
止まっているような風景
景色が変わるのは一瞬
まるで瞬間移動
辺り一面 真っ黒になる
もう 抜け出せない
止まってるように
見えるけど
ちゃんと僕は
進んでるんだよね?
本当に
進んでるんだよね?
ああ もう
暗くて分からないよ
もうどのくらい
無機質な壁を見続けて
もうどのくらい
一人暗闇を彷徨った?
きっと僕はもう
ここから抜け出せない
景色が変わるのは一瞬
まるで瞬間移動
辺り一面 真っ白になる
ほら 目を凝らして
止まってるように
見えたけど
ちゃんと僕は
進んでたんだね
そうだよ
進んでたんだよ
ああ ほら
新しい景色が見えるよ
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突き放すのは
失うのが怖いから
疑うのは
裏切られたくないから
誰かを傷つけるのは
傷つきたくないから
見下すのは
自分が小さいことを知っているから
見栄を張るのは
自分が価値のない存在だと思っているから
壊れるのは
壊れるほど頑張っていたから
汚いのは
きっと純粋すぎたから
傷ついた分だけ
歪んでく 汚れてく 壊れてく
そうやって
僕は僕が生きやすいように
作られていく
そうやって
人は生きている
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君はもっと
愛されているという
自覚を持った方がいい
本当に愛してくれている人に失礼だ
君は君が思っているよりは
結構いい奴なんだ
君は君が思っているよりは
もっと馬鹿な奴なんだ
馬鹿が難しいこと考えても
もっとややこしくなるだけだし
その"悪い予感"とやらも
ただの根暗で
ネガティブ妄想野郎なだけさ
…って
比較的ポジティブな部分の君が
言ってたよ
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伸びてきた爪を切るように
成長してきたネガティブは
ほどよいところで切りましょう
しかし反省も大事なので
大事なところは残しましょう
耳カスをかき出すように
たまには外に出しましょう
誰の言葉も入らなくなるので
定期的に行いましょう
ニキビを潰してはいけないように
無理に気持ちを押し潰さないで
確かにネガティブに生きることは大変
だけどきっと治る時が来るから
その時まで
そっとしておきましょう
そのままで、大丈夫
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僕は死んでしまった
でもうっかり体は生きてしまったから
僕が死んだことに
みんな気づいてない
僕は死んでしまった
一度死んだ人は蘇らない
自然の原理さ
仕方がない
僕は死んでしまった
なのにみんなは
死んでしまった僕に
楽しげに話しかけてくる
僕の返事はない
死んでしまった僕の代わりに
体だけの僕が答えてる
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この消せない痛みを
忘れたくて忘れたくて
傷だらけの心臓なんか
見たくもなくて
ずっと 目をつぶってた
ある日 ふと
思い出そうとしたんだ
目を恐る恐る開けて
けど
目の前にあったはずの
"それ"は なくて
あれ?どこ行ったんだっけ
心の奥底開いて
あちこち探してみたんだ
見つけた記憶は 錆びていて
なんだか古びた映画でも
観てるような映像で
心臓にあったはずの傷跡は
少しも痛まなかった
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何も面白くない
この狭い箱の中で
上手に生きようとしてる
奴らがいる
愛想笑いばっかで
どれが本物の顔か分からない
笑ってるはずなのに
僕には笑ってるように見えない
みんなまるで
能面でも被ってるみたいだ
なぁ その身体
中身入ってんの?
針で刺したら
風船みたいに破裂しそうだ
能面みたいな顔で
楽しそうな声で
面白くもないのに笑う
奴らがいる
不気味な顔に囲まれて
僕は笑えないでいると
能面たちは不思議そうに
首を傾げている
なんて気味の悪い光景
笑えるはずもない
なぁ その顔
中身どうなってんの?
僕はさっきから
"なに"と会話してるの
その能面に気付いてから
今日も僕は笑えないでいる
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恋愛なんて
都合のいい話だ
運命なんて
都合のいい言葉だ
本当は
顔がタイプだ
寂しかった時に隣にいた
そんなしょうもない偶然
それがいつか
"初めて会った時からビビッときてた"
とか
"世界であなただけ"
なんて綺麗な言葉に変わる
そんなこと有り得ない
この広い世界で
一人だけだなんて
絶対に有り得ない話
その時いたのが別な人だったら?
物語は別な登場人物になってただろう
でもそれが
たまたまこの二人だった
それが"運命"なのだろう