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りんくすの部屋  〜 投稿順表示 〜


[247] 伝達
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魂に

熱があれば




そしたらあなたに



伝えられるのに…



2004/04/04 (Sun)

[248] 鉄の斧 おかしの家
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きこりはふと気付きました
鉄の斧を泉に投げ入れたまま、返してもらっていないことに
これでは仕事ができません
お花以来何となく気まずくて泉には行けなかったきこりは
思い切って家を出ました


泉に行ったものの
泉の精は留守のようでした


その頃泉の精は
鉄の斧を持って森を歩いていました
これがなければきっときこりは困るだろうと思い
きこりを探していたのです


しばらく歩くと
一軒の家を見つけました
あめやチョコレートなど
たくさんのお菓子でできたかわいい家でした


泉の精はノックしようとした時
ある噂を思い出しました
かわいい家には魔法使いのおばばが棲んでいて
うかつに入ると食べられてしまうという話です


しかし小路の柵にきこりの帽子を見つけ
またノックしようとして
手を止めました


また突き飛ばされたらどうしよう…


迷っていると
足音が聞こえてきました
振り向くと
きこりが沈痛な面持ちで帰ってくるではありませんか


きこりが泉の精に気付き
ふたりは目と目を合わせたまま
きゅっと立ち竦んでしまいました…



2004/04/05 (Mon)

[249] 世界に一つだけの鉄の斧
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しばしそのまま固まっていたふたりでしたが
きこりはふと泉の精が
大事そうに抱えてるものが
自分の投げ入れた鉄の斧であることに
気付きました


きこりは無言で
その斧を奪い取りました
泉の精は腹が立つというよりは
きこりの傍若無人な態度にショックを受け
走り去ろうとしました


その腕を強引に掴み
きこりは黙ったまま
乱暴にドアを開け
無理やり泉の精を中に押し込んで
後ろ手にドアを閉めました


泉の精の瞳から涙が溢れました
しかしきこりは泉の精を椅子に座らせ
優しく腕を取り
手当てを始めました
斧の先が泉の精の左腕に当たって血が流れていたのです
泉の精は初めて自分が怪我をしていたことを知りました


─そんなに痛かったのか?
きこりが顔も上げずに呟きました
泉の精が泣いたのは
怪我が痛いからなんだと
勘違いしているんだなと
泉の精は思いましたが
─…うん
とだけ答えました


手当てが終わって帰ろうとすると
きこりが家の壁から
チョコレートを一枚剥がして
泉の精に渡しました
─これ…お駄賃
泉の精はにっこり受け取りながらも
─ガキのお使いかよ…
と突っ込まずにはいられませんでした
それをきいて
きこりがクスッと笑いました
初めて見せた笑顔は子供のような表情でした


─また来てくださいね?
泉の精が言うと
─行かねーよ
ときこりは明後日の方を見て答えました
─かわいくない!
泉の精は思わず笑いました


次の日泉の中で本を読んでいると
水音がして
見覚えのある鉄の斧が沈んできました



2004/04/07 (Wed)

[250] こころ
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私の体を透かして

こころに触れることのできる

手をこころを持つ人に出会った





それがあなたなのだ



2004/04/08 (Thu)

[251] aqua
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体中のaquaよ


すべて涙となりて


空気に変化し


彷徨い巡りて


再び干涸びた体を


潤わせ


覆い隠して…



2004/04/08 (Thu)

[252] I know...
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きみはね

汚れてなんかない



いつも口先だけは達者だから

奇想天外…いや、
奇妙キテレツなこと
言い出すけど


ほんとにそんなこと


したりなんかしない


みのむしみたいに


汚れた葉っぱ


着けてるだけなんだよ…

2004/04/11 (Sun)

[253] 決壊
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大きなダムができて
容量もハンパじゃない
これならオッケーと
川筋を整備した


大きなダム
ハンパでない容量

慢心ゆえか
油断したか

放水を忘れてた



──ダム、決壊──




涙の川は今日も
ダムに流れ着く…



2004/04/12 (Mon)

[254] おんぶ
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どんなに忙しくても


あんまり寂しくないのは


僕の背中に


いつもきみを乗せて


歩いてるからかもしれないな


いつもいるんだ


ここに


きみが



2004/04/13 (Tue)

[255] 間合い
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怒らせてやりたかったのかも
しれない


この頃
無理してるような気がしたから



一歩詰めれば
一歩引く

一歩引けば
一歩詰める



間合いが掴めなくて
苛立ったりもした


でもね?

きみが大切なんだよ

考えても考えても



きみの間合い
教えてよ
そこで見てるから


きみの苦しくない間合いを
教えてよ



もう一人で

苦しまないで…



2004/04/13 (Tue)

[256] 忠猫ハチべえ
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雨にも負けず
風にも負けず


犬にも負けず
鼠にも負けず


冬の寒さにはぬくもりをもたらし
夏の日照りには涙で荒野を潤す


きみが泣けば共に泣き
きみが疲れたら子守歌を唄う


きみが姿を現すまで倒れてなるものか
ご隠居に怒られながらも団子を頬張り体力つけて


今日も来ました今日も来た
崖っぷちでにゃあと鳴く


猫を愛でるあの人を
今日も待ちます今日も待つ


そしてきみが何食わぬ顔で現れたら
いつも静かに笑ってる


そういうものに
私はなりたい



2004/04/14 (Wed)
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