詩人:りんくす | [投票][編集] |
子供の頃
自転車でよく海へ出かけた
友達とだったり
一人だったり
そこは汚いので有名な湾に面した
小さな港
車から降りた小さな女の子が叫んでた
「あれ? 海、青くないよ〜?」
そんな海だけれど
夕暮れだけは
違ってた
水平線に太陽が傾くと
波を一斉に銀色に染めあげる
切なさが降り注いだように
哀しくも美しくて
私はこの場所を
とても愛した
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頑丈な砦に守られた
砂の城
陽の怒号にも
高波の歌声にも
決して崩れることはなく
水平線と空との境界を睨み続ける
ふと訪れた一羽のコウノトリ
砦に巣作りを始めたその様子に
砂の城は崩れ落ち
砂と砂とを繋いでいた番は
涙となって
海の碧へと駆け出した
常にトリが高く低くそばを舞い
砂の城は
いつも睨み付けていたあの水平線へと
辿り着く
潮の乙女にいざなわれて
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あなたがもしいなくなれば
足もとが崩れ落ちるのではないかと
離れてしまいそうになるときは
いつも不安だった
こんな自分は
きっとあなたに依存しているのだと…
あなたという嗜好の
依存症になったのだと思ってた
でもあなたは言う
きみは自分の力で羽ばたき
歩いているんだと
それが信頼するあなたの言葉だったから
『依存』ではなかったんだよね
『共存』しているんだよね…
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おっきくパンパンに張り詰めたふうせん
針でチクンと刺して
パァーンと割れば
音には驚くけど
案外気持ちいいんだ
なんか久しぶりに
笑えそうだよ…
ふうせん割ったら
気持ちいい
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やさしさってなんだろうね?
ポケットの中の
自分のナイフを
一つ一つ見せるたび
見られるたび
きみは陰腹を切り
痛みに顔を歪める
そして私が何も語る前から
自分の醜さをアピールするんだ
そんなきみのナイフを
気付かぬふりで手当てしようとしても
叱って取り上げてしまっても
どっちにしても
きみは我が儘だから
怒り出すのだけれど
何故私に見せることを選んだの?
見せる必要はなかったのに
綺麗に終わる方法なんて
きみなら四十八手は考えつくだろうに
きみを嫌いになんてなれないよ
それが私からきみに贈る
最大級のやさしさ
きみはそれに
『束縛』と名をつけてしまったようだけど
名は変われど
『それ』は『それ』…
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人前で微笑みを絶やさない私が
実は
つまらないことで
いちいち
むかっ
として
結構怒りっぽくて
喧嘩っぱやくて
説教たれだと
知ってる
あなたは
あなたは…
私にとって
本当に
特別で
大切な
大切な人なんだ
どこかに
置き忘れてきた怒りを
探して
届けてくれたんだもの
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傷つけられて
泣いてるはずだった
チラリと流された予告編では
なのに
朝の光に目をすがめ
気分壮快な私がいる
きみの筋書き通りにはいかないかな?
…変なのっ…