詩人:りんくす | [投票][編集] |
〈あなたの好みの人を
一人だけ出してあげましょう
嘘じゃないですよ〉
親切そうな魔法使いが
言いました
「じゃあ ほら
あの人を…
詳しく語らずとも
魔法使いさんの
よくご存じのあの方です」
〈そ…それは
できません〉
なんどお願いしても
できませんの
一点張りです
「嘘つき…」
〈嘘じゃありません
本当の本当に
出せないんです〉
「じゃあ…
別の人を出して下さい
絶対嘘をつかない
魔法使いを」
〈そ…それは…〉
「できないんですかっ!?」
〈魔法使いは
“人”とは微妙に
違うので…〉
「怪しい魔法使いですね
すっぽりかぶった
その布を外して
顔を見せて下さい」
〈そ…それは…〉
「何か困ることでも?」
〈外すと
さっきの言葉が
嘘になってしまうので…〉