詩人:niko | [投票][編集] |
空は大きい
僕はさみしい
草原に
たましいは転がって
僕は空っぽだ
何に祈ったって
願ったって
頼んだっていいくらい
薄紫色の雲を
ずうっと
見つめていたいんだよ
たましいは
僕に帰るかな
どこかで
迷っているのかな
無理もないさ
風だって吹かない闇のが
遥かに広いんだ
だけど
僕が怖いのは
たましいの不在じゃあないんだ
たましいが
最初からどこにも行ってないことのが
ずっと怖いんだよ
空は大きい
僕はさみしい
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切なさに触ってみたくて僕は
切なくなるんだろう
それは君の言うとおり
とても心の無駄遣いなんだろう
それにしたって僕らの
指先が感じ得るものは
僕らを取り囲むものに比べて
少なすぎるとは思わないかい
今拭ったばかりのため息さえ
そのカタチに触れることすら
出来ないんだ
君の声だって
誰かの哀しみだって
どんなちっぽけな呟きだって
僕らの指は
触れられないように出来てるんだ
すべてに触ってみたくって
僕は切なくなるんだろう
そうして
また君は僕を
幸福と呼ぶんだろう
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夢を見たよ
まだ君も僕を嫌わず
まだ僕もお喋り好きで
君がどこから来たのか
知りたがっていた
僕らどこへ行こうか
話し合っていた
君はどうして鳥に
生まれなかったんだろう
僕はどうして魚に
生まれなかったんだろう
雑踏で擦れ違うくらい簡単にさ
不思議だね
君の目は一本道のように
僕の体を突き抜けて
僕も振り返り
その先を見ていたんだ
とてもよく似た色で
ねえ君は
同じ色って存在すると思うかい
今でも
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サラサラと人は僕を包み
サラサラと風は僕を流し
サラサラと声は僕に触れる
不安ってきっと
頬が冷たくなることなんだ
サラサラと街は僕を見つめ
サラサラと時は僕を守り
サラサラと夢は僕を送り出す
救いってきっと
たましいに届く手のひらなんだ
サラサラと僕は涙を掬い
サラサラと僕は言葉を撫でて
サラサラと僕は人を包む
優しさってきっと
気付かないくらい軽やかなんだ
サラサラと
サラサラと
それはきっと
とても軽やかなんだ
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もう一枚捲っていいよ
戸惑いが撥ねてるうちに
遮光カーテンの水色は
しらじらしくても大丈夫
傷つけたりはしないから
この次のページには
優しさを汲み上げる僕が在る
僕は悪意からも
善意からも遠いんだ
また一枚捲ってもいいよ
何かによく似た僕が在る
君もよく知ってるものにね
もう顔も名前も見えないだろう
次のページには
ひどく単純な僕が在る
それは君でもあり
誰でもあるんだ
表紙の色が違うだけさ
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あなたがするりと躱す度に
僕の身体は曲がっていきます
人を遠ざけそうです
喉が貼りつきそうです
薄い枯葉のようです
水を飲ませてください
あなたがひらりと逃げる度に
僕のねじれは増えていきます
夢に弾かれそうです
街に隠されそうです
浮いた魚のようです
今日を開いてください
あなたがさらりと逸らす度に
僕の涙は渇いていきます
遠く飛ばされそうです
疎らなかすみ草です
虫もお家に帰ります
恋を返してください
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海の輝き
雨の旋律
雪の絨毯
月の妖艶
雲の奔放
鐘の音刹那
君の心
重なる
ぬくもり
水の流線
夜の深淵
風の潔さ
炎の強靭
光の神秘
夢の残り香
遠き
あこがれ
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ぜんまいじかけ ぼくはおもちゃ
ぼくがあるけば カチャカチャカチャ
ぼくがわらえば カチャカチャカチャ
ぼくのせなかの ねじをまいてよ
きみのゆううつ もらってあげる
ときのろうかを あるいているよ
はしまでいけば なにがあるの
ぼくのせなかの ねじをまいてよ
ときのはしっこ みてきてあげる
きみのはしっこ みつけてあげる
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人は小さい
なのに
その手に余ったり
余られたり
人は小さい
だから
その手で包んだり
包まれたり
僕は人を好きになりたくて
ここに在るのかもしれない
僕は僕を好きになりたくて
ここに在るのかもしれない
君は人を見つめたくて
ここに在るのかもしれない
君は君を見つめたくて
ここに在るのかもしれない
そうして
とても小さくて
とても確かな命の中で
確かに大きく
なりたいんだ