詩人:niko | [投票][編集] |
水の黒い
うねりを泳いでいたら
ある日大きな滝に
僕はのみこまれた
僕は滝に
残らずウロコを奪わた
その先の
遠い海へと続く川を
身軽になった命と知らず
泣きながら泳いだ
懐かしく
愛しき喪失
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街を走る電車は
君の目にも
僕の目にも
映っているのに
なぜか
遠い出来事のよう
多分こっちに
何かが足りない
何かがいらない
街を走る電車は
いつか空まで飛ぼう
なんて考えない
君にも聞かない
僕にも語らない
街を走る電車は
今夜
持て余すものなど
何もない
そうさ
僕に詩を
疼かせるだけ
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コロコロころがる
きみのかなしみ
ぼくのくぼみに
おちてしみこむ
コロコロコロコロ
つぎからつぎへ
あふれたっていいさ
そのうちぼくも
とうめいになる
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こよいがポロリンと
あかいテーブルにおちていた
ひんやりつめたく
ほんのりひかって
ぼくのゆびから
さみしさをすいとり
ポロリンと
ぼくをかなでた
だまされたようなかお
してたんだろう
こよいはクスリとわらって
「もうあしたへすすみなさい」
ときえてしまった
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乳白の空へ
電車は走る
「一緒にどうだい?」
そう言われても
なんとなく僕は起きただけ
まだまだ地上で夢見たい
「それならお先に」
と電車は消える
窓の外には
忘れ物のように
漂うアナウンス
「おはよう 今日が始まるよ」
乳白のシーツへ
僕は落ちていく
「おやすみ 今日は休日なんだ」
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よるがわらえば
ぼくもわらう
ぼくがわらえば
きみもわらう
きみがわらえば
よるもわらう
いちばんさいしょに
わらいだしたの
だれだったのか
わからないけど
ありがとう
またあおうね
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右上に未来があって
君は左目で
今宵を仰ぐ
ひらりと身を躱すように
時のクエスチョンを
見て見ぬフリをしてみても
持て余す憂鬱
大丈夫
優しさなんてすでに
君のココロに住みついていて
強さなんてすでに
君の名前に忍び込んでいて
君はそう
魂の問い人
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雲が早い
群れた魚が先を急ぐように
雲が早い
僕が止まる
アスファルトに影が張り付いたように
僕が止まる
風は温い
食後まで忘れられたレンジの中のスープのように
風は温い
月が細い
深い眠りに落ちかけたまなこのように
月が細い
今日が美しい
生まれたての瞬間を繋いだように
今日が美しい
そしてそれは
本当なんだ
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ありがとう
それいがい
ありがとう
うかばない
ぼくのそこ
みせてもさ
わらってる
きみがいる
ありがとう
ぼくはなる
そのままの
ぼくになる
きみのそこ
みえてもさ
いとおしい
きみにあう
このときに
いわせてよ
ありがとう