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[23] クローバー
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                         よりそうように

                         クローバー



                         ふれればぼくにも

                         きこえるよ



                         「いのちをありがとう」



                         そのいのちは

                         だれのためでもなくて



                         そのいのちは

                         だれのためにもなるって



                         よりそうように

                         クローバー



                         きみのいのちが

                         ぼくによりそう

2003/04/29 (Tue)

[22] 浮き雲
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                          印象に微睡む

                          艶やかな浮き雲



                          風に押されて

                          ふと俯く砂利道



                          憧憬を燻らせる

                          逸り気な古い夢

 

                          それぞれに人は

                          時に焦れ込む



                          流転も臆さず

                          ただ

                          浮き雲は往く

2003/04/25 (Fri)

[21] カラーな魚
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                    水草に横たわり

                    君はTVを見ている

                    色を盗む魚たちをチラリと睨んで

                    長い髪を泳がせて頬杖をつく



                    月を歩く人のニュースが流れて

                    君は揺れる水面を見上げる




                  そんなに遠くへ行きたいわけじゃない・・・




                     懐中時計を開いて君は

                     お茶の時間に気付く




                  貝殻集めは明日にしよう水温が高すぎる

                  もう少しこうしてよう

                  そんなに何かが欲しいわけじゃない・・・




                     すっかり色を盗まれたTVを消して

                     君は楽しげに

                     カラーな魚たちに手を

                     伸ばす

2003/04/22 (Tue)

[20] ひと
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                      人は小さい

                      なのに

                      その手に余ったり

                      余られたり



                      人は小さい

                      だから

                      その手で包んだり

                      包まれたり




                      僕は人を好きになりたくて

                      ここに在るのかもしれない



                      僕は僕を好きになりたくて

                      ここに在るのかもしれない



                      君は人を見つめたくて

                      ここに在るのかもしれない



                      君は君を見つめたくて

                      ここに在るのかもしれない




                      そうして

                      とても小さくて

                      とても確かな命の中で


                      確かに大きく

                      なりたいんだ


2003/04/20 (Sun)

[19] ネジ
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                       ぜんまいじかけ ぼくはおもちゃ

                       ぼくがあるけば カチャカチャカチャ

                       ぼくがわらえば カチャカチャカチャ



                       ぼくのせなかの ねじをまいてよ

                       きみのゆううつ もらってあげる



                       ときのろうかを あるいているよ

                       はしまでいけば なにがあるの



                       ぼくのせなかの ねじをまいてよ

                       ときのはしっこ みてきてあげる

                       きみのはしっこ みつけてあげる

        

2003/04/16 (Wed)

[18] あこがれ
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                            海の輝き

                            雨の旋律

                            雪の絨毯

                            月の妖艶

                            雲の奔放
             
                            鐘の音刹那


                             君の心
  
                             重なる
 
                             ぬくもり
 


                             水の流線

                             夜の深淵
    
                             風の潔さ
  
                             炎の強靭

                             光の神秘

                             夢の残り香

  
                               遠き 

                              あこがれ
 




             
 
                  

2003/04/13 (Sun)

[17] するり
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                      あなたがするりと躱す度に

                      僕の身体は曲がっていきます


                      人を遠ざけそうです

                      喉が貼りつきそうです

                      薄い枯葉のようです

                      水を飲ませてください



                      あなたがひらりと逃げる度に
    
                      僕のねじれは増えていきます


                      夢に弾かれそうです

                      街に隠されそうです

                      浮いた魚のようです

                      今日を開いてください



                      あなたがさらりと逸らす度に

                      僕の涙は渇いていきます


                      遠く飛ばされそうです

                      疎らなかすみ草です

                      虫もお家に帰ります

                      恋を返してください





        

2003/04/25 (Fri)

[16] 遮光カーテン
詩人:niko [投票][編集]

             もう一枚捲っていいよ

             戸惑いが撥ねてるうちに


             遮光カーテンの水色は

             しらじらしくても大丈夫

             傷つけたりはしないから


             この次のページには

             優しさを汲み上げる僕が在る

          
             僕は悪意からも

             善意からも遠いんだ


             また一枚捲ってもいいよ

             何かによく似た僕が在る


             君もよく知ってるものにね

             もう顔も名前も見えないだろう


             次のページには

             ひどく単純な僕が在る


             それは君でもあり

             誰でもあるんだ


          
             表紙の色が違うだけさ


2003/04/13 (Sun)

[15] サラサラ
詩人:niko [投票][編集]

     サラサラと人は僕を包み

     サラサラと風は僕を流し
 
     サラサラと声は僕に触れる

     
     不安ってきっと

     頬が冷たくなることなんだ



     サラサラと街は僕を見つめ

     サラサラと時は僕を守り

     サラサラと夢は僕を送り出す


     救いってきっと

     たましいに届く手のひらなんだ



     サラサラと僕は涙を掬い

     サラサラと僕は言葉を撫でて

     サラサラと僕は人を包む


     優しさってきっと

     気付かないくらい軽やかなんだ



     サラサラと

     サラサラと

     それはきっと

     とても軽やかなんだ 

2003/04/10 (Thu)

[14] 雑踏
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   夢を見たよ

   まだ君も僕を嫌わず

   まだ僕もお喋り好きで
   
 
   君がどこから来たのか

   知りたがっていた


   僕らどこへ行こうか

   話し合っていた


   
   君はどうして鳥に

   生まれなかったんだろう

   僕はどうして魚に

   生まれなかったんだろう

   雑踏で擦れ違うくらい簡単にさ

   不思議だね



   君の目は一本道のように

   僕の体を突き抜けて

   僕も振り返り

   その先を見ていたんだ

   とてもよく似た色で



   ねえ君は

   同じ色って存在すると思うかい

   今でも

2003/04/09 (Wed)
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