ひゅーん ひゅーん と頭の上を 黒い鳥が飛んでゆく あの鳥の名前さえ 僕は知らない 黒い鳥なら カラスくらい 他には一つも 思い浮かばない 黒い鳥は 僕を何だと 思うだろう 大きなアリだと 思うだろうか 何十年も生きてきて 自分の正体さえ 僕は知らない 真っ黒なその鳥は 気持ちよさそうに ひゅーん ひゅーん と飛んでゆく 見ている僕に 気付くだろうか 無恥な僕を 許すだろうか
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