空に咲く 大輪の花風とともに香る 火薬の匂い笛や太鼓の 楽しげな囃子……聞こえない。夏の夜の女の子が一番輝けるこの時にあたしは一人暗闇を見る。静寂のなか蛍火を見るでもなく何を見るでもなく…暗闇を。返答無しのお月さまに語り掛け星を見ながら涙する ‥泣いてないもん口笛を吹いてお月さまに強がりを‥お月さまはお見通し月から顔を背け背を向けて小刻みに肩を震わせている少女の心…。
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