詩人:杳子 | [投票][編集] |
振り返ればいつも灰色
どんより空の亜鉛の曇
手首に血、手首から鉄
傷、蚯蚓のバーコード
君と際会した地、金星
肉の鼓動、心臓の鼓動
心臓、マヤカシ、幻想
雨降る夜に眺めた星空
かぎりなく妄想また夢
振り返ればいつも灰色
どんより空からの夕立
濡れる髪、鞄から剃刀
リストバンドから蚯蚓
灰色は私、私から夕立
鉄に預けた少しの虚勢
ただ蛇口が壊れた水道
胸のヘッドホンプラグ
ご清聴感謝いたします
詩人:杳子 | [投票][編集] |
迷い迷い夜道を歩く
私はまるで唐草のよう
体にずんと荷は圧し掛かる
肩の重さは私の重さ
当て所いまだ見えることなく
暗い小屋に立ち寄れば
見上げて気づく白む空
窓に映ろう朝日を見つけて
私は歩みを止めることなく
詩人:杳子 | [投票][編集] |
雨音が耳鳴りをかき消して
滴る灰色が声を枯らした
叫べど叫べど届かぬ声は
神様の耳に届くでしょうか
濡れた体を温めるように
私はそっと思い出に寄り添う
雨音が耳鳴りをかき消して
滴る灰色に溶けて溶けて
待てども待てども君は来ない
淡くなりゆく私の気持ち
風が雨を迎えに来ても
私はきっと振り返らない