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謳器の部屋  〜 新着順表示 〜


[6] 生活するという事
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目を閉じると思い出す
子供時代の何気ない日々

雨の日の湿った匂い
夏でも冷たい台所の床
温かいストーブと曇った窓
夕飯の支度をする音と湯気
階下から聞こえる笑い声


いつまでもこのままだと思ってたそんな毎日
みんなここでずっと一緒だと思ってた当然の毎日

ありふれた風景
ただそこにいた家族
旅立ちのような静かな別れ

もう戻る事ないあの日々は
記憶の中で暖かく優しく切ない

もう一度作れるだろうか

こんな風景を
こんな家族を
こんな別れを

生活とは
二度と戻らない毎日を生きるという事
かけがえのない日々を知るという事

2006/05/28 (Sun)

[5] 祝福
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雄鶏の叫び声とともに
その夜は明けたけど

夜明けまで降り続けた雨は
哀しい記憶を冷たくその身に刻んだようだ

あの日の雨は止んだものと思っていたのに
今も心の隙間に
降り続けていたんだね

「大丈夫、大丈夫…」と
何度も何度も繰り返し耳元で
囁くけれど

「大丈夫、大丈夫…」と
どうすればいいのかわからないまま
抱きしめるけれど

夢から覚めて泣きやまない幼子のように
何を恐れているのかすらわからない

それでも
君を抱きしめたこの腕なら
その哀しみも抱きしめられるから

今は無力なこの手を離さないで
今は一緒にこの雨を眺めていよう

ずっと傍にいてあげる

この争いと憎しみの交差する世界で二人
願いを掲げよう
君にはその権利があるだろう?

どうかいつの日か
優しい雨が君の上に
優しい雨が君の心に
祝福のように降り注ぎますようにと

2006/06/05 (Mon)

[4] 二人の弱さ
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「君の存在が僕の支えなんだ
僕が君の支えになってあげようと思っていたのに」

あなたが弱さも隠さず
そんなこと言って苦笑いを見せるから
また愚かにも望んでしまう

この世界に絶対なんて無いと
思っていたのに

ほらもう
あなたを必要としている
あなたを失う事だけがひたすら怖い

弱くて、孤独で
頑ななこの心

壊れてしまいそうな
この心

だから
精一杯の勇気であなたに返した言葉は
こんなに単純

「ずっと一緒にいてほしい。」

2006/06/05 (Mon)

[3] 君の真実
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心を奪ったこの世界に
もはや何も求めるものはないと
遠のいた何かを見つめる君の眼差しは強く美しかった

そして
再び心を得た君は弱くなっってしまったけれど
その微笑みは何よりもはかなく、きれい


そう、退屈なこの世界に真実は積もり続ける

そう、この音も無く降り積もる灰のような真実こそが君の真実

2006/06/05 (Mon)

[2] 明日のために
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そんなふうに他愛もない話をしながら
君がほんとは何を伝えたいのか
気付いてない訳じゃないけれど

今日は何も言わずに
傍で聞いてるだけでいいかな

ねぇ…
ほんとの気持ちを
見せるのが怖いから
そうやって何気ない言葉を連ねてるんでしょう

君の大切な想いを
他の誰にも拒絶されたくはないから
そうやって独り言を呟いてるんでしょう

そこではずっと雨が降っていたんだね
明日からは晴れるといいのにね


あぁ
何もかもを受け入れる力が欲しい
君の全てを
包み込めるような


さぁ、もう家に帰ろう
そして一緒に眠ろうよ

明日のために
明日からのために

これからも歩いて行けるように
ずっと一緒に歩いて行けるように

2006/06/05 (Mon)
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