| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
詩は
海原を背にし
空を見上げながら横たわる
二次元上の生と死の境目の煌めき
境目の、どちら側にいようが
こちら側と向こう側とで
お互いを魅力してやまない
波しぶきの立つ
ほんの一瞬の一滴の雫石の中
まばたく
生身の肉に包まれ
こちら側と向こう側とを行き交う
「お父さんはお前が好きだよ」
「そんな事、急にいわれても」
「いつも思っているから言うだよ」
イルカのような瞳で
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湿地対の薄暗い
ようやく木漏れ日の射す
小川のほとりに
木がある
苔にまみれ
そこいらじゅうの腐った葉っぱやら
ミミズ達か蛆虫に近いかそれ以下の生命の助けをかりながら
生きながらえている
これに、もしも精神が宿っているのならば
人ごときでは
計り知れないおぞましい心もちやもしれぬのに
なのに人には
木は健やかに見える
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あんなにも笑っていられた
道端に捨てらたタバコの吸い殻
バースデーケーキを食べ残したテーブル
誰も居なくなった体育館
オートリバース
ハイファイ
pc8001
点と点から線が生まれ
線と線が文字を浮かびあがらせ
数えきれない文字達が
数えきれない文字にしゃにむに追いすがって
夕暮れだ
ブラウン管テレビの砂嵐が
粉々に吹き荒れ
スイッチをoff
なにもかも今はもう昔の漫画みたいだ
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鋭利な先端部分が高速で回転する
ハンドピースと呼ばれる道具を使い
毎日、毎日12時間以上を仕事に費やしいる
時々、時々不注意で指をケガしたりする
絆創膏を何枚も使って指先を
ぐるぐる巻きにして作業再開
酸素とLPガスのボンベをつかって
合金を1000度以上の高熱で溶かし
金属と金属を溶接したりする作業もある
ガストーチの先端から吹き出る炎は
高熱になるにしたがつて
順に、赤から青く白く紫ぽっくなっていく
絆創膏の下の傷口の疼きも忘れるくらいに
集中した作業が繰り返し、繰り返し
繰り返えされる
携帯が鳴る
「来週、そっちへ帰るから時間があったら二人て飲みに行かないか?」
「それもいいけど、それよりも釣りに行かないか?久しぶりに二人で」
「ああ、いいな、そのほうがいい」
「じゃあ、来週な」
「来週な」
来週迄には指先の傷も癒えるといい
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指を噛んでみる
そのまま噛みちぎれるくらいまで強く噛んでみたい衝動があっても
歯型が残るくらいまででやめてしまう
夏休み
息子とのシュノーケリング
手を繋いで、足が届くわけもない水深になるにしたがい
私の手のひらを強く掴もうとする柔らかな指先の小さな感触
不安にさせないように
いったん海面に頭をあげさせる
夕日になる寸前の日差しが
まだ真っ青な頭上を擦り抜け
ビーチから
程遠くない場所に借りた白いコテージを照らしている
その、私の指先が指し示す方角を見つめた様子が
落ち着きはじめたのをみはからい
もう少し沖へ息子を誘う
ためらうな我が子よ
面白い事はたいがい
不安の向こう側で
指をくわえて待っているのだから
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やりたいこと
やらざるべでなかったこと
ことを生んでしまいがちなころ
いま細かくみてしまう
その歪んで忘れえない
ただのこと
立ち止まり思い返してみても
どうにもうるさい
耳を引きちぎったこうかい
そんなうなばらへ
おやすみません
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蝸牛が庭のニラに縋り付いていて
すぐさま毟り取り
叩きつけるように投げ捨てる
殺す気持ちでやった
次男が
午前中には終わるはずのクラブの大会が
午後にやっと終る
知らない父母が息子を家に送り届けてくれた
心から感謝しなければと頭を下げた
長男は
中3で受験生なのだが
ただで貰った学習机についていた椅子が
あまりに安っぽい椅子で腰を痛め
今日、中古の椅子を3000円で買い求めたが
とても良い椅子で安堵した
株式会社になったばかりの古巣
息子と同じ椅子をもう一つ買い求めていたので
会社の経費で落としてくれるようにと
明日は事務員に頭を下げて頼み込むつもりだ
後何年こうして稼げるのか
そう思いながら椅子を眺めた
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貴方が面白いと感じられるのは
少し先を思い巡らす事に疲れ
柔らかい紙のページのはしを
徒労もせずに感じずめくった指先
ダイレクトな直感が虹と花咲く景色
誰しもいわれもない罪を
抱えながら
最果ての最寄りと
いいなずけの住む海底
誰も知らない近道を横切って越えていったバッタ
ほとんど一人で貸切みたいな映画館
もう運動会
ヒマワリの花びらをあしらったしおり
二十日大根の研究日誌
月の裏側の湖に着陸した亀船長
太陽から遠のいていく影の繰り返し
ホスピスで溜息をついた鶴監督
帰ったら
「玄関の草履をちゃんと並べてきちんと置きなさい」
比喩を囲み
皆で燃やそう
その灰を皆で舐め
分かち合おう
君を比喩し
明日を比喩し
比喩を比喩し
比喩の要らない比喩を比喩し合おう
また会う日まで
その時は
笑った方がいい
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だだっ広い畑の稲穂の穂先に
トンボが止まろうとして
降りた間際
そのまま真っ二つにさらりと裂けて
風にばらけた
君は「向こうへ行く」
と言った
僕は「そうか」
とこたえた
へしゃげたビールの空き缶を
90gのビニール袋に何袋もまとめ
売りに行く
大切なスターウォーズの前売り券を
縦に二つに裂いて
片方はわたし
もうこうかいしないうみに
ただよっている
おたがいの
はずだった