詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
やっとの休日
今朝は
釣りでは
全く釣れず
帰りに
遠回りまでして
買って帰った
嫁の誕生日ケーキは
彼女の口には
全く合わず
その後
家族四人でポーカーを
楽しむも
大惨敗
けれど
イライラするまえに
気がつけて良かった
幸せこそ
こうあって
しかるべき
ありようなら
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たどりついた
このあたりが
どこの海だろうが
どうにもなりはしない
縄をにぎる
手のゆびさきが
こうもこごえているのは
きっと心臓から
遠くにあるからなのだろう
縄を結わえた
さびだらけの
なさけのない
いかりを
ゆっくりと
しずめていく
なにをしにここまで
やってきたのか
やってきたなら
やらざるをえない
やってこなくて
こうなっていたから
なさけのない
いかりをゆっくりと
しずめていく
やりばのない
このいかりを
ゆっくり
そっと
しずめていく
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たくさんの人の心の機微が
風のような出来事に
揺らされながら
ひしめき合い
わななき合っている
互いに翻弄されるがまま
そっとしていることも
そっとしておいてあげることも
どうにもならないままに
笑ったり、泣いたり
蔑んだり、敬られたり
命を絶ったり、永らえさせたり
こんな果てしのない
どうにもならない話しは
もういい
サトウキビは
とにかく硬い皮だけど
それより硬い歯で
やっと噛んで、引っ掻き裂くように
剥いてやると中に
甘い茎の部分があって
そこもやっぱり固くて仕方ないのだけれど
噛み締めると青臭い汁が出てきて
それがとにかく甘い
そんなサトウキビ畑の
ひしめき合う景色が
風に揺れている
しかるべき様子が
この心の拠り所
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砂浜に打ち寄せる
波の音が
繰り返し、繰り返し
打ち寄せる
恥ずかしさ
情けなさ
儚さ
もう少し
聴いてみる
疑い深さ
嫉みや
妬み
サラサラと砂を混ぜた波が
じんわりと
靴を濡らしていく
家族と
友達
命
波にさらわれそうな
貝殻を拾い上げ
耳に
優しく
押しあてていた
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いつか
僕らが
満天の
空の星数に似た
詩を
描き残す
旅をして
それぞれが輝き
翼を休めた蝶が
静かに
翼を開いていくように
美しさの結実を迎えて
花開かれっていって
くれたなら
誰かが
書いて、書いて、届かなかった
書いて、書いて、忘れられない
書いても、書いても、しかたのない
人の
奥底にあるやもしれない
ほんの
ただひとつだけでいい
核心に
言葉がなれるとしたなら
胸いっぱの
草原の匂いに
横たわり
ただただそれに
読み耽りたい
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糊のきいた
いい匂いいっぱいの
真っ白なシーツカバーの敷かれた
布団だった
祖母は祖父に晩年に先立たれ
離婚したばかりの叔父と
二人暮らしだった
そんな母の実家に
お盆休みがてら預けられ
床についていると
夜中になにか不穏な物音に目が覚め
どうしてなのか
胸騒ぎに鼓動が高鳴っていた
祖母はぶつぶつ独り言を吐き
子猫のミャーミャー鳴く声がすると
古い玄関の引き戸を開け
外へと出ていった
叔父の怒鳴り声で目を覚ましたのは
翌朝の事だ
大人同士の喧嘩ほど
子供に怖いものはなかったが
会話の内容に
目眩がする程に困惑した
叔父が言うには
飼っていた雌の猫
それが産んだばかりの子猫達を
祖母は夜中に紙袋に入れて
そのまま海に放り棄ててきた
と言うものだった
「人間がやる事じゃない」
叔父は激しく祖母を罵った
戦時中を知る世代の祖母の方言は
あまりにも聞きとりずらく
よくは聞き取れなかった
それでも、布団の中にくるまり
とても泣いたのはよく覚えている
祖母は果たして人でなしだったのか
今はあの子猫達の事を思い出してみても
全く涙が出てこない
時代もあった
真っ暗な防空壕の中
轟く爆撃音に
小さく縮こまるしかなかったと
話してくた祖母
彼女にしてみれば
離婚して、酒浸りでろくに仕事もしない
猫を連れて実家に転がり込んできた馬鹿息子の面倒と
たまに訪れてくれる可愛い孫達に与える
愛情以外に生活に何の余裕も無かったのだろう
祖母は私の為に布団をしっかりと天日干しをして
まっさらな白い洗いたてのシーツの寝床を用意してくれ
気持ちの良い香りにつつまれながら
わけも分からない悲しみに涙させてくれた
けれど
産まれたばかりの猫畜生には
その優しさを微塵も与えず
それどころか紙袋に放り込み
ミャーミャー鳴くそれを海へと放り棄てた
海へ投じられた袋の中がどんなだったのかは
想像するのにはありに忍びないが
ただ私には
防空壕と紙袋の中の惨劇が
祖母を中心に重なってしまう
それでも
糊をきかせた白いシーツを
干し終えた時
祖母はさぞかし
空をあおいだだろとは思う
どんなに命に追いすがられようが
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透き通った海の
珊瑚礁の星砂やら
砂漠の黄金の砂粒達が
湧いては零れ
打ち寄せては流れていく
回転する
土星の輪の成り立ちに
ゆだねられた
木管なのかも金管なのかも
やもしれない感触に近い音色が
シルクのレースを織るように
あるいは
ほどいていくように
火か血か
目か水か
風か肌か
形に意味が与えられたのか
意味が形になっていったのか
きっと本当は
「ホットレモンティーでいいよ、出来ればレモンのスライスは2枚がいい」
肝心な事は
背中に張りつけられたように
必ずあって
「カップの中でこうやって、スプーンの先でレモンの果肉をぐちゃぐちゃにつついてかき混ぜてやると、凄く美味しだよ」
日射しが
ティーカップの中で渦を巻く
レモンの果肉達を別つ
カップの縁の影を越えて
外側の光の方で
気がついたように戦慄く方と
影へと包み込まれ
香りを残すように秘めていく側とに
ふとしたように
左手首のこうあたりに目をやる
「砂糖は多めに」
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あざとさを感じるのは
自分の影を
誰にも踏ませまいと
みはっているから
ポチ、ポチ、ポチよポチ
何でも僕の言いなりになっておくれ
あざとい連中がいるんだ
そうかと言って、ポチ
お前までは、お前まで
あざとくはならないでおくれ
ポチよポチ
お前、お前だけなら
私の影を踏みしだき
素直におなり
けれどポチ
お前はもう死語なんだ