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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[202] シーソー
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ぎったん、ばっこん
ぎったん、ばっこん

着地してから
踏ん張りながら
強く、上に向かって蹴り上がる
あの、気持ちよさといったら
他にない

ぎったん、ばっこん
ぎったん、ばっこん

同じくらいの体重の君の
背後の景色が
空になったり、地面になったりするのを
見あげたり、見おろしたり

ぎったん、ばっこん
ぎったん、ばっこん

飛び上がりは
自然に背筋が
のびのびとして
気持ちよく
降りると
しっかりした足元に
安心する

おわりたくない
見つめあいが
はじまっていた

君がいたから
僕はいる

2015/03/14 (Sat)

[201] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

君が
君でいたくなくなってしまった時のために
書いている

頭の中で
なにもかもが
わからなくなって
誰か
たえられない人がいたり
取り返しのつかない
失敗の後悔にさいなまれたなら
とりあえず
外出するといい

空や海、山や川、雲や雨を見に行って欲しい
もう、見た気でいても
外へ出て
まのあたりにする光景には力がある
それを確かめに行って欲しい
それらには
君を励ます力がある
それは
渇いた土地にわきだす
小さなわき水のように純粋で
誰にでも分け隔てなく
あたりまえのように溢れ出ながら
かけがえがない

僕にとって
君に巡り会えた事が
そうであったように

2016/04/29 (Fri)

[200] 愛想
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こどもたち
きみたちは
私にとっての
あらゆる物事と向かい合うべき時の理由の根底の表面に
薄く、細かく、広がっている

どうにもできない
にぶい痛みに
貧弱な言葉がはじらう

君とは
花よりも、早く、咲く、かれる事のない安心色
紙で切り裂かれた
血の滲む傷口から
爽やかな理由が
心から
ひろがってしまう
その事

後悔するくらいなら
死んだほうが
良かったように

君はいる

2015/02/09 (Mon)

[199] さとうきび
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みどり色した
きびゆれて
みえかくれ
ゆれかくれ
はがくれ

甘い
はなしがある
はてしのない
はなしがいのはなしかい

いつもたいせつでない
ことば
かりが
なにも
はなす
まえから
誰のこころのなかにも
はなされ
やっとたいせつな
文字のひとつを
ねのある
一つを
かりとり
わたした

私の機微

2015/02/06 (Fri)

[197] 釣りと詩
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釣りをやっている

求める魚は
悠々と
どこかを泳ぎ
胸を焦がす
こちらの意図など
藻屑のように潮に流され
途絶えていく

白い紙面と
ペン先と意図

技能なら
分解してみれば
基本的な動作を素早く繋ぎあわせたようなもので
それはあたかも
点と点とを
なめらかに繋ぎあわせていくようなもののはずだ

深呼吸の
波の音が
聞こえる

揺れ動く海原
その深淵は
いく筋もの潮が織り成す
絶海へと
かすれ吹きすさびそうな
蒼い肩達の面影の縁を
逸れぬように
トレースしていく

身障者の息子の手を引く
老いた母親
後ろ足を結わえられたまま
首筋を鎌で裂かれ
そのまま木につるされた山羊
雨の日の校舎に囲われた
花壇に咲く紫陽花

推測はいつも期待よりに傾いていて
誰のものにでもなれそうに装ってはいるが
それには
距離感が欠落していて
虎視眈々と色濃くなっていく執着ともつれ合いながら
波間に見えかくれする

か細い意図をつたい
弾かれた指の感触が
出逢いの閃を身体中へ流がしこむ
全てがつながる
あらんかぎりの力で
こたえおうずる
初めて竿が弧を描き
出口を知らない
期待と不安が
こみ上げてきた頃ように

今日もまた
ここに一つの点を
残しておこう

虚構に近い
無限の差異のただ中で
影の実体を
探し求めている

深呼吸の
波の音が
聞こえる

2015/01/12 (Mon)

[196] 焼き鳥屋
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つながりを無くさない
理由がある

焼き鳥屋の店主にしか
見えない景色

女房は
イライラして出て行ってしまっても

俺にはもう少し
ここにようがある

注文した串焼が
もうすぐ
届く

2014/12/30 (Tue)

[195] 詩友
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あの頃
君が渡してくれた灯火が
今も僕を疼かせている

君はいつも
人と違う事にばかりに
皆が
触れるように
皆が気がつくように
したがって
そんな
あんまりに傷だらけの君が
僕には
君へ心をどうしたらよいのか
わからなくなって
それっきりに
してしまった

旅は二人を大人はしてくれたようだけれど
お互いの距離は
全く変えてはくれなかったし
そんな事を思うこの心は
つまらないね

僕は僕にしか書けない
詩を
やっぱり書くしかない

そう
灯火は
消えてはいない

それが君にとって
嬉しいといい


2017/07/09 (Sun)

[193] 蝸牛
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身を閉じた
蝸牛よ
なんでおまえは
そこにいるのか

よりによって
そこは
窓を閉じてしまえば
潰されてしまう
アルミサッシの額縁の内側の隙間だ

ぼんやりと薄い殻の中が透けて見える

小便をしながら
窓から覗く
ブーゲンビリアを背に
広がる青い空を見上げて
気持ちが良いのに

おまえはそこにいる

ビールの空き缶で
もう、ゴミ箱も満タンだ
ビニール袋にまとめて
リサイクのゴミの日まで
キレイにしまっておく

蝸牛も
外へ放り捨てやる

それでいい

そうしたいから

2014/12/14 (Sun)

[192] いてはいけない子
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何か掴むものを
川原で
頼ろうとしている

誰かではいやだ

あなた
ただ、あなただけ
あなただけが
ただ、私だけを
なんでもよくなくて
なんでもよくなって

私があなたなのか
あなたがわたしなの

はなさないでいて

誰なの

母さん













2014/11/24 (Mon)

[191] メダカ
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ノートの狭間をさ迷う
メダカを見せたい

耳の奥まで水でいっぱいになると
薄くて透明な身体が透けて
心臓の鼓動に
気がつく

呼吸が小さな身体中の隅々までも躍動させ
大切な働きの繰り返しが
丸見えになる

ここでは
上も下もない
そこで
どうして
こうしてあるのか

物書きが
ありもしない
なくもない
チョロチョロと揺れる尻尾を揺らして紙面を生きる
そんな様を












2015/09/23 (Wed)
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