| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
真っ赤なコウロギが
飛び跳ねた
蹴られた目蓋の感触の延長線に
瞬く、薄い羽を境に
こちら側と
むこう側で
互いに見る
来れたものと
来れなかったもの
新しくなれない朝
外れ落ちたキャップ
使い手のない鎖
空に向かって血が滴り落ち雲をめくりかえすと
骨肉のような
あだがさらけ出される
そんなわけがない
空は
なんにも知らないのだからお互い様だ
、
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
ブリキの玩具の匂いは鉄の匂い
アジサイの鉢植えの匂いは土の匂い
駄菓子屋の冷凍庫の匂いは氷の匂い
コロコロした子犬の腹の匂いは砂の匂い
赤に黄、青に白に緑
ダイヤブロックの匂いは
プラスチックの匂い
バラバラに分解した
ラジオの基盤は
ハンダの匂い
ひどい火傷をして
病院に迎えにきてくれた
抱きしめた匂いは
母の匂い
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
雲ひとつ無い
真っ青な空を背に
真っ赤な観覧車が
ゆったりとした速度で回る
スクリーンにも
あなたは映っていた
憧れを教えてもらった妬みの時から
うれしさをやどした痛みを抱えて
美しさを、今も思っています
別れが、出会いだったように
やさしいくちずけが
幾度ともなく交わされては
遠ざかってゆく
ただ
ただただ汗ばむ手に握りしめたチケットのような
真新しい香りと
早すぎる時刻に
劇場の前を彷彿とする
世界のどこかを廻り
進んでいくあなたを探し
一呼吸ごとに息を吐き
小舟のオールを漕ぐ方角へ背中をむけて前進していく不思議さが
あてどもなく開いていて
それが
今も、続いている
kikaku2013 「朝」
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
文字通りの羅列に
渇いた喉が咳き込む
遠い過去の
高い空のどこかで
誰かが
たったの
ボタンの
ワン、プッシュだ
視力が
張り裂けしまうほどの
閃光が全てを呑み込んだ
なにも
わかりたくない
なにもわかりようもない
未来永劫に
どうして
そんな事に
なってしまうのか
毎年
3万人がこの国では自殺する
kikaku2013 「白」
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
タバコを携帯灰皿に揉み消した
沖縄のローカルニュース
最近じゃあ毎日
「オスプレイが配備」
「オスプレイが飛んだ」
「オスプレイが一機、二機オスプレイが三機、四機」
ここは内地の都道府県に比べて
国からアメリカの手前
不平等に扱われている
らしい
尖閣諸島に竹島
中国に韓国、台湾
メディアにインターネット枠組みに捕らわれた狭苦しい電気配線みたいな道理
誰かに仕組まれたいがみ合い
負の連鎖の入り口とメビウスの輪
歴史教科書の古い地図
ドイツみたいに
分断されたうえに
あれほどの大戦の遺恨がヨーロッパで払拭されたのはやはり
地続きの利なのか
パンダとか可愛いみたいでも当然、猛獣だし
冬のソナタてどんなメロディーなのか知らなくても
アイドルはやっぱり可愛い
国家なんて枠組みは
政府なんて枠組みの中で安泰な給与と退職金と天下りを保証されたい努力家達のご褒美の優先順位順
つまりは人権の矛盾を時の流れに身を任せられないミーハー
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
をカッターナイフで
できるだけ
根元のほうから切り落とし
しょんべん臭い
ありてえを
キーホルダーに無理やり
ぶら下げ
わかりきった景色に
青くたれ落ちた濁点
火曜には
尖く硬い針金の先を
薬指の先から
手の甲まで骨にそって
突き刺して
しっかりとさせたい
切り落とされた
を
連中や連中の意見に
君にはわからなくなってしまってほしくない
また、書くよ
、
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
歌詞と
メロディーとは互いに、ひたすらに
求め合い、焦がれ合う
人でいう恋人同士
互いが互いの為でなければ
よろこぶ事も悲しむことも意味がなく
、
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
虹は
声のする
方角
ほがらかなんて
どこにでもあるような
気がしていたのに
さしだされた
つなぎたかったであろう手のひらを
握れなかった
朝顔の葉に
新鮮なつゆ玉が
幾つも、幾つもこぼれ
何も知らないみたいなツルが
笑むように揺れた
葉の裏側で
チョウチョが濡れないように
しがみついている
、
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
なすべき事をなせたとき
嬉しい事は何もない
目はおよいで
褐色の頬の傷跡を夕闇にあらわにしながら
壊れては消える、海の波のリズムの呼吸がせいで
まだ、どうして良いかもわからない喉が唾をのむ
のざらしの獲物をたぐりよせるために
たずなを力いっぱい握りしめた、腫れ上がった手のひらが、じんじんと熱い
仲間と切り分けた
何一つ無駄するわけのいかない、担いだ糧を
重たいぶんが重たいだけ
十分以上の腰の痛みと
爪の垢と
食いしばる歯に
誰に関係もない
実感をこめて
男は家族を養っている
、
| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
逆さまのリモコン
確かな実感のこもった
ボタンを押して、暖炉を選びたいのに
炎は好きだ
互いが互いに満たされ
思わぬところで
感じた意外に
ゆっくりとした
とても大切な事が
メトロノームのリズムになる
きんこん、、、きんこん、、、
わからない事が
気持がよい
わからないという事だけが
はてしのない
理由と正しいお辞儀をかわせる
君と胸ぐらを掴み合いたい
、