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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[73] 清らかなる御霊へ捧ぐ
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僕らを包む全てへ

君はなっていったんだね…

君の体が灰となり

空気に溶けて

大気と一つとなった時

君を呼吸した僕らの胸は

痛くなり

この体の隅々の血に

君を感じたよ…




やがて瞳の毛細血管から

静かに涙腺へ至った君は

優しく頬に

流れ出て

僕らの汚れた眼を

洗い清めてくれた…




君が名残惜しんだ

この美しい世界




この君の全てに

相応しくなりたい…

2005/12/03 (Sat)

[71] バーチャル・ファイター
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君の盲目の目を

癒す術を探して

旅に出た

デタラメな医者、曖昧な占い師、高慢ちきな教祖達。狡猾な商人、迷信や化学、怨念や逸話…雑踏に苛まれ

知らずうちに僕は人を恨むようになっていった…

全てがデタラメな世界

君を痛め付ける事すら糧とするこの世界

こんな世界の全ての人を盲目にして

僕も目を潰してしまえば

楽園が出現する

平和ボケしたクズどもがのたうち回るのを尻目に

君と暖かく闇に包まれたい…





君の苦しみを全ての人に叩きつけてやる為に

全ての人を盲目する猛毒を探している

全てが

バーチャルなこの世界で

2005/11/20 (Sun)

[70] 棉のシャツ
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洗い立ての棉のシャツみたいに

優しい君の気遣いを

そのまま君のありのままの心と感じながら

毎日を生きているよ

心が

どうしようもない事に駆られそうな時も

人の

理不尽な毒に濁りそうになっても

おびただしい腐敗と喧騒に汗塗れに汚れ

クシャクシャに萎びてしまいそうになっても…








君のひたむきな思いで洗濯された

白く香の良いシャツに腕を通したなら

何もかもみな新しくなる

今日一日を

君と全うしたくなる

2005/11/21 (Mon)

[69] 夕顔
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渚の夕顔は

白いワンピースの少女のよう

その夕立に濡れたしどけなさよ…

可憐と呼んで通り過ぎるに忍びず

眺めていると




ようやく日の射し始めた砂浜で

君を囲む鮮烈な黄緑と白

葉と砂の色が鮮明さを競い始め

その影も濃い程に

風は

君の虹色に輝き出したワンピースの可愛いらしさにいたたまれず

迎えに遊びに来ては

連れ去ろうとして吹いて

その度に

濡れた髪のようなツルをクルリと弾ませ

花びらの裾はひざ小僧を隠そうとしながら

ハニカミ




少女は優しく

僕に

微笑むのです…

2006/12/04 (Mon)

[67] 渡礁
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夜も明け切らぬ荒磯に降り

喧しい波の音と

いそいそとした空に挟まれて

愛竿を手に深く息を漏らす時

何も楽しい気持ちはありはしない




期待と寝ずの倦怠感が

潮の香りと渦を巻き

騒がしく背中の方で私を軽く持ち上げてしまいそうになるのだ




「落ち着くのだ」




やがて

ぼんやりとしてはいても

夜が明ける程に黒く鮮明な釣り人と鋭い竿のシルエットが

朝焼けに立つ




「もう何も迷う事等無い」




穂先は空を切り

固い意思は

しっかりと鳴り響いた。

2006/02/23 (Thu)

[66] 無題2
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何一つ染みの無い雪の結晶が

超電導帯の黄金の基盤の細密さを充満させ

誰も知らない教室の

窓を映したビーカーの中

チラチラと

万華鏡を回し

完全に不完全になろうとして

揺れている

2005/11/11 (Fri)

[63] 寂しいから
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色とりどりの花の咲く種を

君にあげたい

独り占めにしたら

採れた種が

寂しかったから




やっと見つけた

素晴らしい曲を君に伝えたい

君もきっと

誰かに伝えたくなるよ

一人では

とても切ない曲だから






本当の寂しさは

独り占めに出来なくなる

だから

君をみんなに紹介したいのさ

本当に寂しい Color

きっとみんなも君を好きになる

みんなもきっと誰かにそれを伝えたくなる

本当に寂しい事は独り占めに出来なくなる

だから

独り占めにしないで

君も

君を

独り占めにしないで

2005/12/27 (Tue)

[62] 釣りに、心をよせて
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不幸を知らない

オママゴト戯言は

恨めしく

垂れ流され

痛い事が

何より嫌な私は

とにもかくにも…

蓋をして

釣りに等に出かけ

煩わしい

人のあるべき様を忘れて

水面にひっそりと立つ

浮きに自分を重ねて

緊張感と倦怠感を混ぜ合わせたら

今よりましな自分を

見据えるのです

2005/10/30 (Sun)

[61] 『カレンダー』
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突然の風に音をたてて落ちた

母の病室

それに

退院予定日が印される事は無かった…







実家に戻れば

会える気持ちのまま

線を引くように裂いた音

妻の病室

出産予定日は近づき

裂いた一枚を

捨ててしまうのには虚しく

丁重に紙飛行機にする…

窓を開いて

悲しい夢から覚めたような気がしても

潤み出す景色

めくるめく日々の向こう

そよぐ母のもとへ

我が子よ放て

カレンダーの紙飛行機

2005/10/30 (Sun)

[60] 困った男
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困った男だ、お前は

「歯医者じゃ麻酔はしない」のだと言う

酔って車をぶつけたりする

「俺は長生きは出来ないだろう」と言う

日焼けした顔で目だけがギョロギョロと睨み

ある夜

二人で飲んでいると

「最近、仕事が減った…」と鼻から溜め息ついた




いつか

子供をビデオに録りたいと話したら

「馬鹿じゃないか?」と罵られた

思い出は心に焼き付けるように、両の目でしっかり見るのだと…




お前は本当に

困った男だ

2006/02/23 (Thu)
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