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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[59] 仕事
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

ドカリと椅子に腰掛けた

さあ 今日のお客さん

靴を磨いて差し上げましょう

縫い目に絡む土埃は

ブラシでサラリと掃き落とし

底に付いた泥やガムは

ナイフでそっとこそげ取る

右の足から左の足へと

あかぎれた指に布を巻き

隅から隅へと靴墨を塗り

息を吐きかけ磨きあげる

紐も硬すぎず 緩すぎず

時間も掛け過ぎず 手も抜かず

顔が映る程にピカピカに

さあ 誰がこれ程磨けよう

されど 誰がそれを知り得よう

お代を静かに受け取って

隅々まで綺麗になられたらら

どうか 清々しく御立ち去り下さい

僕の仕事をその足に

2006/12/03 (Sun)

[58] 
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俺は

言葉等…

初めから

無意味に近いと承知で

戦っているのだ

それを

さも複雑な、不穏や欺瞞、憎悪や不純、差別や怒りを人のリアルな核心か本質のように

くだらない

全ては単純だ

理由等、正当化する為の後付けに過ぎない

答えは初めからそこにあるのだ

それを

達観したかのような

悟ったような

権威があるような

有り難い教えのように…

いいか

ただ男は何がしかのもっともらしい理由を付けて未知の丘の向こうへ行きたいだけだ

俺もお前も魂からの嘘つきなのだ

分かったか?

2006/12/28 (Thu)

[57] ヤシの木
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夕暮れのヤシの木の肌は

嫉妬のような日の熱い眼差しに

きめ細かなブラウン管の三色

青、黄、赤…の光る粉が

触れたならサラサラとこぼれるように鮮やかに息づいている

台風の度に生死の境目さえ知るその腕は

こんな優しい午後にも休まずに空を仰ぎ

手の平を強く開いて

幾すじもの爪を空を裂く切り絵のように深く浮かび上がらせる

それは滑るような瞳の艶やかさで風に揺れ、眩しく日を反射したりさえするのだ…



『生きる事をひがんじゃいけないよ…』




傷だらけの幹にそっと額を当ててみたくなった

風に立つ美しい人のようだから

2006/02/23 (Thu)

[56] 城跡
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君の手を引き

城跡へ行く




草木の吐息を胸いっぱいに呼吸しながら

ヒタヒタ

石畳を歩む




暗い石の門をくぐると

城壁はクルリと取り囲み

月の明かりを水のように湛え

僕らは宙を漂うようだ




やがて

粗く冷たい城壁の岩肌にもたれた君




どうか今

その横顔を見詰める僕に気付かずにいて下さい

もしも気が付いても

素知らぬふりをして…




いつしか

月に寄り添う雲のように

僕の肩にそっと甘えて下さい



2006/02/23 (Thu)

[55] 海中道路
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路面に雨音のような余韻を残し

真夜中の海中道路を

緩やかなスピードで過ぎ去る…

沖に取り残されて浮かび上がった

長くて遠いリーフのようなこの道で

水平線をたどる…

白く伸びた灯台の明かりは

暗い空と海の境目を探すように彼方へと旋回して行く…

その向こうには

島影を忘れた

小さな街明かり達が

ちぎれたネクレスの七色の光りの粒となって

横へそっとちらばっている…

ラジオからのメロディーは奇跡のような選曲で景色と溶け合い

人生が『物語』なのだと教えてくれた




「I'm Not In Love…」




誰も知らない

僕の物語

2006/05/10 (Wed)

[54] ラジコン飛行機と馬鹿
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受け入れられる事と


やりたい事を取り違えてしまった…


やらなければならない事と


やりたい事を交換してしまっていた…


子供の頃…


あんなに


ラジコン飛行機が欲しかったのに


理由を思い出そうとしても思い出せ無い


理由とか言葉等…無意味な程


ただただ欲しくて欲しくて欲しかったのだ…


夢中になるとはそう言う事さ


理由なんて下らない


俺は心から馬鹿でいたい。

2005/09/29 (Thu)

[53] 祈る
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どうか何か もう苦く無いものを

せめて ささやかな安らぎを




腰抜けと呼ばれても構いわしないから

どうかただ ただ無事な日々を




哲学や教養 学識や偏見

辛辣な舌から逃れて

ただ ただ

日々の慰めとなる詩を

命の糧となる詩を




私の分の恵みがとり分けられていて

もしも許されているのなら

どうか賜りますように…

2006/03/13 (Mon)

[51] 潮騒
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拾った貝を耳にあてて



海の記憶を聞く…



遠くで雷鳴



夕立の香り



濡れた髪を



タオルで優しく拭いながら



潮騒を思う…。

2005/09/18 (Sun)

[50] 聖者
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辛い程に


人は浄化される…


だから


楽園に聖者は生まれない


全てか安楽へと集約してゆくこの世界に


限り無く


聖者の居ない無い


地獄が


出現する

2005/09/17 (Sat)

[49] 恋愛詩
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ミカ…


恋愛詩なんてくだらないよ


この詩がつまらないのは


僕がつまらない男だからさ


ミカ…


君を幸せにしたくなった時から


詩なんてどうでもよくなって


恋愛詩ばかり


書いている


ミカ…


僕はつまらない男さ


恋愛詩を君に書いている

2005/09/16 (Fri)
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