| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
忘れ去られた砂浜をさ迷う
割れたビン、靴に玩具…
吹きすさぶ風に砂が混じる
大切な事を忘れてしまった気がして
探している
薄曇りの空
足にじゃれつく砂
時折日が射す
不明瞭な世界
神様は空から見ているのか
砂の混じる
風の吹きすさぶ
誰もいない
砂浜をさ迷う…
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映画館の前は
心が騒いで
旅立つ朝みたいで
あの入場券の真新しさ
上映前のよそよそしさ
出発の警笛のようなブザー
そして…
ようこそ「風と共に去りぬ」
ようこそ「スターウォーズ」
ようこそ「ハリーポッター」
ありがとうチャップリン…。
僕は
生まれて来て良かった
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鼠には
何故カゴの中で
何故カゴがあり
何故その中で自ら車を回し走り続けているのか…
理解する日は来ない…。
人も何故この世界があり
何故この世界で生き続けるのか
理解する日は
永遠に来ないいだろう…。
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ソーダ色の空
溢れる泡の雲
さよなら太陽
閃く波しぶき
オレンジに闇と光りがざわめく境界線に
つんざき吹きすさぶ
もうただ…ただ行く…
風の音が五感を一つに溶かし
羽ばたきもせず
グライダーよりも
純粋な風そのものになる
陸が閉ざされた二次元の紙切へと どんどんとなって行く…
沖は人魚の姿
メデューサの呪いが
波間に見え隠れしている
このままグラン・ブルーのイルカと帰れなくなるまで…
世界の果てへ落ちてゆきたい
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雨の夜は
遠くの街へ
来たかのよう
彼も彼女も
遠くに居るよう
全てが
過去の事のよう
雨の夜は
船の旅をするかのよう
暗い海のただ中には
船の明かりの他に
なにも
なにも
見えません…
静かに
じっとしていなさい…
豊かな
寂しさと言うものも
あるのです…。
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タンスの奥に仕舞われた扇子は
パタパタと開くと
こぼれるように
女の人の
良い香がして
子供だった僕には
目を凝らしてもぼやけて見えない花を見るような…
そんな歯痒く切ない思いをしたものだった…。
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男は鷲の眼
褐色の断崖の頬
研ぎ澄まされたナイフの唇
暗黒の荒野にあって
迷信を恐れず
嵐の海にあって
星を読む
家族を愛し
不屈の信念を杖とする
正確な論理と洞察力を忠実な犬のように従え
閉ざされた未知の喉笛を迷う事無くかっさばく
目も眩む真実に
身じろぐ事も無く
偽りを踏みしだきながら
新たな未知へと旅立つ…。