ホーム > 詩人の部屋 > 遥 カズナの部屋 > 新着順表示

遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[16] 貝殻
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

浜辺で拾った

貝のカケラ





「あの砂浜で生まれたの」




粘液と共に吹き出され

清らかな肉を包み

命が当たり前みたいに側にあった…




月が照らしていたのを覚えています


潮が引いていったのを覚えています


蟹達の噴く泡の弾ける音を覚えています


轟く波を覚えています…





朽ち果てた今





幾億の仲間達と

この砂浜の

この星で

無限の宇宙へ

溶けゆく事を知らない…。

2006/02/18 (Sat)

[15] 小鳥
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

小さなカゴの鳥


小さな鳥


カゴの中。


美しく鳴こうとします


美しく鳴こうとしています。

2005/08/01 (Mon)

[14] 遊ぶ
詩人:遥 カズナ [投票][編集]


水浴びをしようとして

浴室で整然と並ぶタイルを眺めていたら…

ここはまるで太古の墓の王の間のようじゃないか?

遊びたくなって

明かりを消して

横になると

冷たい背中に身を清められるようで

いよいよ面白いではないか

三千年のファラオの夢に興じてみた…

だけど

君に同じ事を奨めたりはしないよ

こんなに面白くて

面白くて、面白くても

決して奨めはしないよ

君が僕に

他に面白いオモチャや遊びを教える事が出来るなら

その資格があるかも知れないけれど

だから

決して奨めたりはしないよ



2007/10/28 (Sun)

[13] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

ゆっくりと…

視力が取り戻されて行くように…

静寂な東の夜空の帳は

ぼんやりと開き始める。

やがて冷たい大地と空と海を暖めながら…

ゆらり、ゆらりと…

日は世界を巡り来る。

闇を西の空へと追いやりながら

永遠に

朝は世界を

進んで行くのだ。

2005/07/30 (Sat)

[12] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

君に僕の代わりがなければ良いのに…。

この星のように

肉親のように。




死ぬ事以下がないように

僕のいない程の苦しみが

君にとってなければ良いのに…。




時が、いつか君を愁いに包んでも

当たり前でない新しい僕が

いつでも君の側にいれば良いのに…。




まだ知らない未来が幸せであれば良いのに…。

たとえその事がわからなくても

信じずにはいられない程

君が僕を好きならいいのに…。

2005/09/30 (Fri)

[11] 母猫
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

母猫が子猫を呼んでいる。

「お前の可愛い子猫は…」

母猫が呼んでいる。

「表通りで車にひかれてしまったよ…」

母猫が呼んでいる。

あのアサガオのくるくるとしたツルのような可愛らしい尾が、風に跳ね回る事はもう無い

母猫が呼んでいる。

「うるさい猫め!」
…悲しくなる…

母猫が呼んでいる。

…そうだね…
私もお前と思い出そう…
あの子は可愛い子だった
本当に可愛らしかった…

母猫が子猫を呼んでいる。





2014/11/06 (Thu)

[9] 釣り
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

みんな

僕の釣った魚を美味しいと食べてくれた。

ニコニコとした。

僕は

心から素直に嬉しかった。

ニコニコとした。

2005/07/26 (Tue)

[8] 自由
詩人:遥 カズナ [投票][編集]


牢獄にあっても

幸せを見出だす人は居るが

宮殿にあっても

不幸しか目に映らない人も居る

それは夜、灯りに群がる虫達のようじゃないか?

一点の視界

以外の視界に

無限の自由はある。






2008/11/24 (Mon)

[7] 人魚
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

碧い月と潮騒の浜辺

人魚の亡きがらは打ち寄せた

淡い月の光りにさえ

透ける程白いその肌は

今しも波へと溶けそうだ




暗い沖からきっと

仲間がこちらを見つめてる

波音も物悲しく聞こえて来る…




彼女の夢は人を愛する事

報いは泡と消える事




碧い碧い潮騒の夜

願いを叶えた月の夜

2006/11/16 (Thu)

[6] 赤い花びら
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

誰も居ない劇場の

僅かに日の射す舞台の上に

赤い花びら一ひら

静かにそっと落ちていた

押し寄せる客席を向こうに

暗く高い天井を見上げ

赤い花びら一ひら

何も知らないみたいに落ちていた…。

2005/08/31 (Wed)
364件中 (351-360) [ << 31 32 33 34 35 36 37
- 詩人の部屋 -