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遥 カズナの部屋


[152] 出勤
詩人:遥 カズナ [投票][得票][編集]













台所のすみにあるゴキブリホイホイに
いくらかのゴキブリが取り付いていて
不愉快だからゴミ箱へ放り込む

四年生の頃
夏休みにバルサで戦艦をこしらえようとして
深夜に
未完のまま母に叱られ
そのままになった
あの船がどうなったか
記憶のどこかをどう漂い
沈んでしまったのか
花火を仕込んで
砲撃できるようにした
あの仕掛けは
出来上がっていたのか

焼きすぎた焦げたトーストの焦げめをシンクにザラザラと掻き捨てる

息子は小三だが
昨日、初めて市内線のバスを一人で利用した
下車する際に
料金を支払い損ねたと話してくれた

無理やりバターを塗りたくったトーストをくわえて
出勤しようと玄関のキーホルダーを掴むと
会社の鍵が外れ落ちてしまっている事に気づく
どんなひょうしに
どこで無くしてしまったのか

昨晩、いつもより二缶多くビールを空けてしまった事に後悔しながら
車を駐車場からバックで出す

ラジオの渋滞情報を聴き終わると
自然とスイッチをオフにしていた

バルサの戦艦は
庭先の池で爆竹を使い
派手にこっぱみじんにしてやった事を
思い出していたのだ














2016/04/23 (Sat)

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