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遥 カズナの部屋


[292] ドライブ
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

夕闇の
岬の尖端が
車窓の左はしの方から
見えてくる

もう
恋に陥ることはない

助手席から
君が水平線へと
手を伸ばし
連れ立って
今でも
たゆみないスピードで
記憶をかけぬけ
繰り返し
僕を
振り返るとしても

もう
恋に陥ることはない

あの水平線と
手を繋ぎたくて
アクセルを踏み
更にスピードを上げ
どこまでもどこまでも
どこまでへでも
たどっても
やっと僅かな日差しに
なりきって
滞りなく
澄み渡るしか
ないように

もう
恋に陥ることはない

もっと静かに
誰よりも
かけがえもなく
鮮やかに
密やかに
見惚れる
程に

もう
恋に陥ることはない

2020/09/07 (Mon)

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