詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
毎日を
毎日のように
繰り返す毎日が
毎日続く
変化に対して
応えているか
変わらずに
続けているか
否
毎日違う
毎日を過ごして
毎日を化かして
変わらない毎日を
演じる毎日の
連続の毎日
同じ日のない毎日
毎日伝えても
根も葉もない毎日
届かない毎日
だらだらと
更新する毎日は
古いタイプの毎日
だらだらと
行進する毎日は
後退ばかりの毎日
誰々と
交信する毎日は
繋がりのない毎日
毎日を続ける
続かない毎日
続きが毎日に
引き継がれない毎日
不毛の毎日
毎日を
反芻する毎日を
毎日変わらないで
毎日変われない僕が
毎日変えてみろ
続く毎日を
毎日を毎日を
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ノーメッセージ
ノーライフ
ノーノーノー
そんなのノー
伝えるな
綴るな
コトバを生むな
それでも
優しく
撫でてくれる
その手があるから
何も伝えない
何も綴らない
何もコトバを
もう望みなど
それでも
強く
守ってくれる
アナタが居るから
伝えたい
綴りたい
この気持ちを
コトバを生みたい
ノーノーノー
ノーノーノー
否定しない
中傷しない
攻撃しない
認めてくれる
与えてくれる
暖かく
包んでくれる
アナタの中で
私は
君にあるもの
僕にないもの
否定しかない
中傷しかない
攻撃しないと
ヤラレテシマウ
冴えない感性
巡り恵まれない
惰性と排他を
繰り返す
隔てられた壁の外
心底思う
ウラヤマシイが
ウラメシイに変わる
冷たい
死にたい
伝えてはいけない
綴ってはいけない
コトバを吐くな
内にある愛を
見てしまった
知ってしまった
一人きりじゃ
生めないもの
どれだけ似せても
埋まらないもの
歪な人形しか
俺がお前だったら
絶望の淵
その希望は
あまりにも
無謀で
伝わらない
聞こえない
このコトバ
届かないなら
あのさ
何も伝えない
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夢だと思ったら
牛丼屋だった
券売機で
愛が売っていた
大盛りにして
希望と夢を付けた
千円で
お釣りがきた
店員に
券を渡すと
出てきたのは
牛丼だった
お腹も空いていたし
仕方がないので
食べた
愛を2、3粒
夢は半分残した
お腹いっぱいだ
僕は満たされた
でも
朝になれば
また
どれでもいいから
享受しろ
お前を入れて
ボタンを一つ押す
出てきたものが
すべてだ
信じろ
思い込め
決め付けろ
曖昧な感覚は捨てろ
間違っていない
僕は正しい
間違っているのは
牛丼屋の方だ
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この先を描くのが
彼しか居ないなら
終わらせるだけだ
柔らかなナーバスを
打ち消すには
消しゴムじゃ足りない
軽々しく叩き
心に刻む
気の抜けた闇ごと
彼女を葬っても
まだ足りない
きちんと
完成させてから
誰にも見せずに
持ち出して
その場を去るのは
誰にする
残された人々に
続きを描かせるよう
不透明な鬼達の
イマジネーションを
取り除く方向で
物語は始まる
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子育てに飽きられて
温かいだけの庭に
放置されたまま
忘れられた
骨と皮だけのヒナ
食べる物には
困らない環境だから
幾ら食べても
何一つ身に付かない
言葉を知らない
ひ弱なケモノ
潜在的に
知識を欲す
飢えを凌ぎ
渇きに応えるには
一体どうすれば
虫の呼吸のように
囀る呻き
頭が弱すぎるから
空いてばかりいる
満たすには
やるしかない
羽のない前肢を広げ
闇雲にばたつかせ
白い柵に向かって
走りだす
ヒナは自分すら
よく分かっていない
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Oh!神よ
かつては
人の子だった
貴方の創った世界に
何度目かの
新時代が到来し
未だまともに
直視出来ない
光の背後に
隠された姿
たった今
眺めているものは
明後日にある別の
同じ色をした
闇は無い筈なのに
どいつもこいつも
一緒に見える
造形が似通るせいか
誰をモデルに
デッサンしたのか
狼よ
かつては
鳥の子だった
空を飛べない
代償として
小さくも鋭い
牙を手に入れた
白い柵の向こう側
早くも危機と
出遇ってしまい
異彩を放つ
幼き四体に
魅せられた
蠢く闇々は
涎を垂らし
標的を見つめ
睨み返し思う
こんな処で
終わってたまるか
未発達のケモノ
怪しい茂みに
襲い掛かる
次の瞬間
呆気なく
捕らえられたが
牙を持っても
強気で挑んでも
所詮
ヒナはヒナ
危険を冒せば
狩られて
消化されるのみ
されど
露骨なケモノ
たとえ
肚の中でも
祈りはせずに
喰らってやる
喰らってやる
自らを呪うように
幾度も欲した
砕けた体は震え
潰れた目の奥は
空洞のまま
意識が途絶えても尚 膨らみ続けて
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丁度良い温もり
ほんの一部分
浸かるだけなのに
頭から丸ごと
吸い込まれ
我を失う
ぬめる祠の
虜になって
ひたすら振り続ける
パンク寸前の風船
獣の意識は中空に
美味しい部分から
食べ始めると
最初の方や
結末直後を
表に運ぶのが
面倒になるし
見ていても
つまらなく感じる
幾ら他人のセックスに
興味があったとしても
読み飛ばして
大事な場面を
先に見て
ヌいてしまったら
瞬間に興味は
プツリと失せる
どんなに濃厚な物語でも
一気に色褪せ
幕を閉じる
幻想を脱がして
唇を奪い合い
舌と舌とを絡ませて
ミルクを飲むように
首筋をぺろりぺろり
柔らかさを
十二分に味わい
全身の皮を
少しずつ剥いだ後
自身の中身を啜らせる
それから
空洞になって
落ち着いてから
気が付くらしい
奥の方で
ヒリヒリする痛み
分からないから
優しくキスをして
笑ってやる
天国を過ぎると
急降下
頭の中は
トぶ前より
ずっと鮮明で
熱を奪われ
牙が萎え
急に
おとなしくなる獣
眠りを妨げられ
突き放したくなる衝動を
必死に堪え
抱き締める
もう何も言うな
この胸の中で
安らかに眠れ
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もう冬なのに
うしろで
セミが鳴いている
よく晴れた夜に
うるさいのは御免だ
月がうらやましい
隠れていても
慕われていて
それに今だって
誰かに
想われているんだろ
ぼくは
自ら輝けないし
スポットライトを
浴びた時だって
たいして
目立たなかったし
だから夜な夜な
ぼくはでかける
彼女を置いて
外へでかけた
死ぬほどに
生き抜いて
平然と今日がある
信じた偽りの
真実に気付いても
ぼくはこうして
月を見ている
赤の他人が
うらやましくて
とてもうらやましくて
ニセモノにすら
なれない自分に
嫌気がさして
そらに
身を投げそうになる
グッと堪えたら
やっぱりな
やってきた
くやしさはいつも
後からじゃないと
込み上げてこない
急に
月が一つ増えた
きっと
錯覚なんだろう