詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
自己啓発主義者の
彼はこう言った
僕が手を差し伸べるから
君は掴むだけで善いと
分ってないのね
私は動けないの
ガラス張りの上
しゃがみ込んでいる
下に見えるのは
視えない奈落で
所々ひび割れて
誰かが歩くと軋む
その中で
皆は平然と進む
恐くないの?
突然やってくる砂嵐
走るのはノイズ
彼の手も声も
かき消されて分からない
私はひたすら
危機が過ぎ去るのを
震えて待つだけ
自己啓発主義者の
彼はこう言った
皆恐いんだ
大丈夫
勇気を出して
僕の側においで
抱き締めてあげるから
分ってないのね
私は動けないの
何度も言わせないで