詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
あと数日で
足の踏み場も
無くなるだろう
誰も戻らない部屋で一人
やり場のない
数々の理由を放り投げたら
ゴミ箱に入らなくて
でも興味を失ったから
その先は知らない
どうせその辺に
転がっているんだろう
僕は
この部屋から消える事なく
いつまでも散らかっている
知らぬ間にいつも
片付けてくれていた
君の
足の踏み場が消えるまで
あと数日
予め用意された道筋は
落とした形跡に隠されて
分からなくなってきている
捨ててきたものはまだ
手の届く範囲内に
あるというのに
失ったものはもう
部屋から出たきり
戻ってはこない
行き場の無い僕は
いつまでも呆然として
帰らぬ君を待っているのに
取り戻せない記憶が
全て埋もれて
思い出せなくなるまで
あと数日
鳴らないのは
この手が遮るから
響かないのは
この声が断るから
そして君が
理由を拾い
震えを受け取ったのは
それから数日後の事だった