詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
本物そっくりの
色違いの偽物は
敵として現れ
期待以上の
成果を残さずに
散ってしまうもの
なのに何故
本物以上に
魅力を感じるのか
本物にしかない部分が
欠如していて
本物にはない部分が
付け足されていて
同じ動きをするのに
最後には倒される
決定的に違うのは
偽物だって事で
デタラメに敷かれた
レールの上を
規則正しく
進んでいく途中
突然
彼女が全裸になって
隠し持っていたナイフで
全身の皮を剥ぎだした
リアルな妄想が
健全に生きる僕の
唯一の支えで
本物にはない
偽物にしかない
余計なものを寄越せ
生きていくのが
むず痒くて
たまらなくて
ひたすら頭を
掻き毟った
吹き出した血は
僕が本物だって証拠
だなんて本当か
実際の所
何が本物で
何が偽物か
分かっちゃいない
ただ誰かが
そうだと決め付けて
僕がそれに
従っただけの事
真相を気にした分
遠ざかる真実
だから
自分も世界も
偽物だって暴ける
決め手を欲しがるんだ
頭を掻き毟れ
虚実を見つめろ
この血と交換に
無理矢理手に入れた
余計なもの
取り付けても
僕の色は
変わらなかった
確かなものは
未だ
ぼやけたままだ