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高級スプーンの部屋


[318] オルゴールを背景に
詩人:高級スプーン [投票][編集]

開かないドアの
向こう側に居る
君を遠くに感じて
怖くなって
ノックしようとした手
下ろして僕は
来た道を戻った

自分の部屋に帰り
そのままバタリ
床の上に倒れ
無気力に
携帯いじっては
意味のない言葉を紡ぐ
どうでもいいや
弱々しく吐いた溜め息が
今日一日を塗り潰す
そんな毎日を繰り返す

いつものように
部屋の明かりも点けず
ただダラダラ
横になっていると
どこからか
流れてきたメロディ
曲名は知らないけれど
幼い頃に
聞いたような

妙に懐かしくて
寂しくなるメロディ
触れると壊れそうで
僕の部屋の中
ぽつぽつと染みていく

静かにじっと
聞いていると
不意に君を思い出した
心地良い曲調なのに
なぜか心が痛む
君が頭から離れない
僕は胸を抑え
立ち上がって
外へ飛び出した

降りしきる雨の中
傘もささず走った
何度も滑って
転びそうになっても
走った
君の元へ
そして
僕は立っていた
相変わらず
開かないドアの前に

鍵は失くしてしまった
けど
君は失いたくないんだ
会いたい会えないを
リピートする毎日は
もう沢山だ
勇気を振り絞って
ドアを叩くよ
もう一度
僕が君と出会う為に

2005/09/12 (Mon)

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