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高級スプーンの部屋


[367] ギンヌンガガプ
詩人:高級スプーン [投票][編集]

録音した
自分の声を聞いて
初めて受け容れられた
これ以上
逃げられなかったし
その必要も無かった

世界も誰も
何も隠していない
秘密は皆無
僕は必死に
逃げ回りながら
なぜ
逃げてるんだろうと
理由も忘れて
ひたすら何かに
追われるように
逃げていた

振り返って
誰かが居ても
誰も居なくても
どちらにせよ
事実を知るのが
怖かったから
振り返らなかった
逆に
後ろを見ずに走る
異なる怖さは
僕に渇きと
生きる望みを
与えてくれた

気がしただけ

十方が闇
遮るものがないのに
身動き一つ取れない
自分を放って
何処かに
行ける筈は無かった

無理だろう
認識してしまった
在り来たりな
自分に
飲み込まれて
溺れて苦悩しても
助からない
変えられない
与えられた存在を
覆しても
果てしなく広がる
壁のない部屋に
飲み込まれ
僕は
正体不明の
限界を悟った

これが僕なら
仕方ないな

2005/10/24 (Mon)

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