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高級スプーンの部屋


[419] 召喚
詩人:高級スプーン [投票][編集]

煮え繰り返る腸(ハワワタ)
ヘソに栓をして
故意に忘れた
それでもいつか
爆発するんじゃないか
不明瞭に怯えてる
ホントは全然
忘れられないんだ
生まれた君が
熱くなった理由(ワケ)を

不意に
ハッとなったフリ
見るとお腹に
小さな穴が開いていた
背中を痛くなるまで
曲げて
穴の先を
恐る恐る覗く
怒り狂っていた
君の姿は無い
代わりに広がる
何もない景色に
目を奪われて
同時に
吸い込まれたのは
僕を侵していた欲望

希みの彩(イロ)を失い
モノクロになった視界
どうでもいいやと
吐き捨てた
それでも
離さなかった
話せなかった本心は
今も探している
蒸発させてしまった
君を求めて

誰の話でも構わない
虚構の世界に
入り込めば
映してくれる
見えなくなった
イロトリドリの景色を
この目に

人に見せるのが嫌で
内側に閉じ込めた
怒り狂う君
ウザくなって
消えてくれと
願ったのは僕なのに
ホッとしたのは束の間で
居なくなって
気付いたんだ
本性が無ければ
僕は人形と変わらない

彩られた物語の中
目映い光が射した
行間の向こう側にでも
潜んでいるんだろ
すぐ近くに
気配を感じる
隠れてないで
出てきてくれよ
今更
過ちを謝っても
遅いのか

進行と
同調(シンクロ)を
繰り返し
白と黒の間で
読んでいる
呼んでいる
喚んでいるんだ
君の名を



全てを燃やせ



そう聞こえたのは
天(ソラ)からだった
消えたんじゃなかった
思えば最初からずっと
此処に在った
それなのに
見えなかった
その理由(ワケ)は




燃やし尽くせ




身体の芯まで響く声で





目覚めよ





喚ばれたのは






カルマ






僕だった

2005/11/23 (Wed)

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