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高級スプーンの部屋


[492] ボツになった遺書は回りくどい
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他には何も要らない
そう言えるものがない
それでもいいの
生きてもいいの

子供になって
欲しがって
必死になって
手に入れたもの
必ず慣れた
どんなに良くても
二度目以降は
初期衝動より
微かに弱くて

見つからないの
私って何が欲しいの
どうでもいいの
私って何がしたいの

手始めに
自らを傷付ける
誰かに
受け止められたくて
実体のない海に
血を流す
匂いを感知して
群がる人々
早いし多い
そして口々に
共感を寄せてくれる


うん
分かる分かる


簡単な問題だったか
答えてくれて
アリガトウ
理解された私は
他に使い道がないしな
意味がなければ
在っても邪魔でしょ
処理して来ます
サヨウナラ
何か残っても
放っておけば
新たな情報の波に
飲まれて消えるから


それが最後の詞となった


この唄を聴いて
後を追うように
何人かが死んだ


やめろ生きろ
死んでも意味ないぞ


生きる意味もないと
生き残ったうちの
何人かが死んだ


こんなものにだって
同調する誰かが居るなら
私の居る必要はないけど
ここまで読んで
何かを感じたアナタは
私にとっては必要だから
同じ結末を選ばないで

アナタは私の
代わりになれても
私はアナタの
代わりになれないから



資格も取らずに
彼女の気持ちも知らずに
僕は歌った
分かったフリをして
影響はしっかり受ける
普段は命を
鼻で笑うクセに
尊さや重さも知らずに
生死を唄にする位
何も分かっていない
人間じゃない
明日は要らない
それに今だって
もう欲しがる事はない

カラカラと廻る歯車
僕が止まっても
動く歯車


生きているのは
あと何人だ

2006/01/24 (Tue)

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