退いた分進んでしまって元の場所には戻れない進んだ分減ってしまって空腹を誤魔化すしかない人間の欲のカスを啜り今日を生きる明日はない今日を生きる塞がる出口の隙間からだらだらと流れるような呼吸をし今日を生きるもう人間の味はしない鬼も不味いと喰ってくれない元の場所には戻れない失って手に入れたものを貪っても満たせない生活すっきりせずに持て余す時間を荒らして過ごす腹を壊して感じる微弱な孤独の夜の中今日を生きる
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