詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
最近じゃ
誰に何を言われても
笑顔で返すようになり
本音を漏らすのは
君にくらいで
でも
最後にしたのは
いつだったか
ぼんやりと
考えたりもしたけれど
それ以上は
特に
私の事
本当に好きなの
そう訊かれた時だって
僕は
確かにそれは
幸せで
直に肌に感じていた
それでも
素直に喜べなくて
心の内では
疑問がぷつぷつと
浮かぶから
拡がる前に
静かにぷちぷちと
潰していた
それだけ
そんな風だったから
心はいつまでも
貧しいままで
幸せは
冷めて固くなった
肉のように
噛み切れなくて
けれど
吐き出せなくて
口にしてから
大分経つのに
まだ噛んでいた
もう味もしないのに
作りたての笑顔で
嘘を吐くしか
それからは
別れ話を
振られた時でさえ
本音を
言えなくなっていた
午後六時半すぎ
いつものように
ご飯を食べながら
TVを観ていた
くだらな過ぎて
笑ってしまった
いつもと変わらない
明るい日曜日
甘いものが
欲しくなり
冷蔵庫から取り出した
一口チョコ
食べてから数時間
すると
いつの間にか消えていた
跡形もなく消えていた
確かにそれは
幸せで
僕にとっては
幸せで