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高級スプーンの部屋


[573] アドリブで行こう
詩人:高級スプーン [投票][編集]

何度誤って
何度謝らずに
座って下を向いたろう
隙を見て
逃げ出そうとしたろう
一番下の引き出し
上から次々と
新しい失敗を重ねるから
忘れてしまうんだ
ふとした時に
何か別の物を
探している時に
奥の方
掴んだもの
さっと手を引いて
バタンと
引き出しを閉じた
見られてないかと
周囲を確認
ほっと息を吐く
心の中から殴られる
貴女ならなんと言う
なんとなく分かる
理解らないけど
一生きっと
こんなんだから
こんなんだって
こんなんじゃあ
ダメだけど
ダメだけど
ダメだけど
否定されるであろう
真実をすべて
肯定して開き直る
誰かの傷口が開いたり
閉じなかったり
何人殺したとか
簡単に殺すって言う
疲れたって言う
死にたくなると
息を殺す
この声が
喉が
喉の奥の
心の奥の
もっと奥の方になんて
そんな幻想はないよ
でもきっと
また歌う
なんて顔で
ムカつくツラで
媚びてるような
嘘で化粧して
男じゃなかったんだ
歌うな
そんなんで歌うな
そう言われても
誰も聴きたくない
そう言われても
黙れ
そう泣かれても
やっぱり
無理して
口を閉じて
開いた傷口が弾き語る
そんな良いもんか
語るな
歌ってる
歌ってる
他人への声援を
勘違いして
愛を
間違えて
歌ってしまう
唄を
唄じゃないから
それでも
歌う
バカみたいな
本当にバカな
泣いた涙に価値もない
もう歌うなって
見てるこっちが
それでも
俺は僕は
ぼくは歌ってる
去れ
消えた方が良い
此処でもう歌うな
目の前で歌うな
歌う

2006/05/18 (Thu)

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