詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
究極の愛を聴いた
欲の歪みに
耐えられない
他人の嗜好なぞっても
吐き気がするだけ
それなのに常習犯
一度ハマったら
中々抜けない
オカズが無いと
言葉も出ない
無能な頭を抱えて
部屋から身を離す
誰も近寄らない
交差点の真ん中で
理想の女が立っている
一目見てすぐ
目を逸らした
あなたの浮かべた
その顔と僕じゃ
一致しないから
この手には落ちないと
その手には乗らないと
呟いて
逃げるように
次のステージへ
借り物の詞
繋ぎ合わせて
模型を造る
誰の未来の実現か
裏側のないジオラマで
朝まで遊ぶ
大人は幼児に還りなさい
無限の海に入ると
視界はボケて
一生をかけて
蓄積した記憶が気化して
赤子に戻る
青い砂浜で
覚えた言葉は
みんな忘れてしまうんだ
いつかはいつかを失う
永遠に無限大
嘘臭い噺を道端で
名も知らぬ
子供に聞かせていた
おどけて踊るマーチ
恐ろしいことに
平気な顔をして
アイツは笑ってる
愛する人の皮を被り
羊のフリして笑ってる
翌日には紙面を飾る
馬鹿が居る
それぞれが
それぞれの唄を泣く間
はぐれてしまった
さっき転げ落ちた坂を
見上げると見えなかった
ここからじゃ
生まれた頃に気付かない
戻る気にもなれない坂
曲がるのも面倒で
真っすぐに下っていく
嘘ばかりの高速を飛ばす
やる気のない進化を
続けるのも今だけだ
締めの文句が
思いつかなくて
仕方なくウリにしたのは
愛と平和と男と女
特によく売れるのは女
この手の定番には
飽きもせず飛び付くんだ
これさえあれば大満足
そう言い聞かせて
悟りを開くのを諦める
あとは終えるだけ
こんなものを
読み終えても
顔を上げれば先がある
人生は歩き終えたら
それでおしまい
終えるだけ
終えたら終わる
終わったら先はない
あなたの記憶は戻らない
その先はないから