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高級スプーンの部屋


[636] 赤いギャグ漫画
詩人:高級スプーン [投票][編集]

ニシキヘビ柄
鈍く光る
真っ黒なブーツ
履かずに
漫画を描いた
赤いギャグ漫画

不規則な生活を
規則的に繰り返し
降りてくる閃きを
掴んでは磔る
余分な手足をちぎって
残った胴体同士
縫って縫ってちぎっては
磔るの繰り返し

オシャレはキャラだけ
暴れる音楽も
欲の固まりオニギリも
大好きな漫画だって
読むのを止めて
描いているのは
赤いギャグ漫画

笑えるのは俺の人生
笑えない位に笑っちまう
だから
ついつい吹き出すような
そんな
ギャグ漫画が描きたくて
描けなくて描けなくて
逃げて転んで
倒れていたって
塞ぎ込んでいたって
誰が笑っていたって
お前は笑えない
時間を気ままに潰しても
原稿はつまらないまま

後ろ指を
刺されそうになったら
進んで汚いケツを向けろ
底が見えると嘆くなら
降らせるのがお前の役目
降らないんだと嘆くなら
蓄めるのがお前の役目だ
全部全部お前がやるんだ

休んだ分だけ
死が近付いている
寄り道をしたら
帰ってくるまで
あとどれだけ
自分を
費やさなきゃなのか
考えている間すら
全速力で一直線に
お前の元へ
死が近付いている

時間を気ままに潰しても
原稿はつまらないまま
誰かに救われたって
お前は笑えない
あの時ああしていれば
こんな風にはならなかった
うるさい黙れ
今やれることを
早くやれ
死ぬ間際でさえ
悔やむつもりか

大好きなもの
幾つもあるが
気持ちの良いもの
幾つもあるが
描きたいもの
幾つもあるが
人生は一回
俺は一人
夢や希望を
語ってはそこらに捨てる
そんな暇があるなら
なぁ
いま何をしているのか
見せてみろ

ニシキヘビ柄
鈍く光る
真っ黒なブーツ
履かずに
漫画を描いた
赤いギャグ漫画

それは
赤いギャグ漫画

2006/11/25 (Sat)

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