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芥子、の部屋


[3] 虫食いダイアリー
詩人:芥子、 [投票][得票][編集]

素通りしてく
現実は夢のように
ただ受動的な
まぼろしかもって思うような

後ろ髪引かれる
夢こそ現実に似て
体感が心震わせる
錯覚じゃないって確信していた

ときどき少し
わからなくなるの
人には言えない
おかしいと思われたくないから

だけどほんとに
判らなくなってるの
目が覚めたらまず
体を触ってみる癖
まるで幽霊ね

過去すらぜんぶ溶けそうで
未来のありかも
失いそうで
どんどんどんどん
消えてなくなる
忘れてしまう
あの日の嘘さえも

真実になれば
何もかもやり直せるって
実は期待してたけど
虫食いのような日記帳
たくさんの浮き沈みの中に
見え隠れする黒い虫

塗り潰したはずの
あなたの名前だけ
今も上手に
思い出してしまうなんて

2015/09/12 (Sat)

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