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春ヱ彗星の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 愛のおたまじゃくし
詩人:春ヱ彗星 [投票][編集]

あなたという水の中で
見えもしない愛の形を
必死にもがいて探していた
私はおたまじゃくし

本当はわかってたのよ
いつかはこの私も
大切なあなたにさよなら言って
出ていかないといけないことは

雨が降る度にいつも
一人ぽっちのあなたを思って
少し泣いてしまうけれど
あなたにはいい人が見つかるわ

あなたの中でしか泳げなかった私はもういない
今は一人で跳べるのよ
あゝだって私は愛のおたまじゃくし

許してほしいとは思わない
勝手な私だけれども
もうあなたには愛なんて
かけらさえも感じられないの

だけど今もときどき
罪を感じるの
私は愛せなかったけど
私を愛したあなた、ありがとう

また誰かに恋をするのならメダカなんかどうかしら
飽きっぽい私には
波すら無いあなたじゃもう足りないみたいなの

あゝだって私は愛のおたまじゃくし

2006/08/16 (Wed)

[2] トトロがいた
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いつだってあの場所で
君は寝そべっていた
私が近付くと大きなあくびをして
少しだけ眠そうな目を向けた

大人になっていくのが怖くて
未練がましいかもしれないけど
こうしてこの楠の下で
君に会える度に安心できた

ねぇトトロ、私の心は
まだ大丈夫かな?
踊らされて大事なものを忘れてないよね
ねぇトトロ、私の心は
まだ曇ってないかな?
眼鏡かけて変わっていく
景色の中に

ある日からもうどこにも
君を見つけられなくなった
桜の花が咲き始めて
新しい学校に向かう頃

大人になるのを怖れていた
そんな私がいつの間にか
君のことを忘れかけて
「当たり前」の生活をしてる

ねぇトトロ、私の心は
これでいいのかな?
少しずつ今の私が好きになっていくの
ねぇトトロ、私の心は
これでいいのかな?
まだ少し戸惑うけれど
諦めていく

ねぇトトロ、私の心は
間違ってないよね?
変わっていくこと受け入れていくよ
ねぇトトロ、私の心は
間違ってないよね?
淋しいけど歩いていくよ
君のいない明日へ

2006/08/16 (Wed)

[3] イ・ロヴェ・ヨウ
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別れ際に投げ掛けてみた
不思議な言葉に君は驚く
“I love you”なんて恥ずかしいから
ローマ字読みの“イ・ロヴェ・ヨウ”

イ・ロヴェ・ヨウ
呪文みたいと君は笑う
ヨウ・ロヴェ・メ(You love me)
こうして二人でいることが幸せだから
呪文なのかもしれないね

ダメな僕にはしっかり者の
君が大きな存在だ
“I need you”当たり前の気持ち
誰にも知られぬよう“イ・ネード・ヨウ”

二人だけしか分からないように
誰も入ってこれないように
僕らだけの言葉で
イ・ロヴェ・ヨウ ヨウ・ロヴェ・メ

イ・ロヴェ・ヨウ
不思議そうにみんなが見る
ヨウ・ロヴェ・メ
誰にも知られることはない暗号
二人だけの大切な呪文

2010/07/29 (Thu)

[4] Road of the TENGU
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昔はこんなところにも
天狗がいたとじじいは言う
じじいは昔は木こりだが
今はベッドに寝たきりだ

天狗はいつも言っていた
人間たちが羨ましい
自分勝手で羨ましい
わしらにゃそうは生きられない

じじいはすぐに否定した
好きなように生きること
それが一番難しい
一番人を苦しめる

天狗に意味は分からない
じじいの努力は空回り
じじいは多くを語れない
そういや見舞いにゃ誰も来ない

今は森も無くなって
天狗もどこかへ消え去った
それでも天狗がいた道は
好きなように荒れていく

マンション建てりゃ人が住む
道路を作りゃ車が通る
世のため人のため変わる道
天狗にゃそうは変われない

2012/10/03 (Wed)

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